M(宮田家) ページ3
「俊くん・・俊くん！」
何度も呼び掛けているのに、テレビに釘付けの彼は全然気づいてくれない。
「パパ、ママが呼んでるよ？」
見かねた息子が俊くんの脇腹を突っつくと、「うわっ」て大袈裟に驚きながら、「呼んだ？」って苦笑いをして私を見る。
「何回も呼んだよ！」
「ごめん、ごめん。・・何だった？」
「子どもたち、今日習い事サボったの！俊くんからも何か言ってよ！」
すでに私から叱られ済みの子どもたちは、バツの悪い顔をしてリビングから退散していく。
「サボっちゃったのか〜。まぁ、そんな時もあるかなぁ」
呑気にそう言いながら、チラチラとテレビ画面を見ていること、さっきから気づいてる。
「真面目に聞いてよ！」
「聞いてるよ？」
「私の話より、アニメの方が気になるんでしょ？！」
エプロンを外して、乱暴に俊くんに投げつける。
「このオタク野郎！！」
「A？！」
慌てふためく俊くんを無視して、私はマンションを出ていった。
いつもそう。俊くんは私の話より趣味の方が大事で、全然私の方を向いてくれない。
夫婦になったって、母親になったって、好きな人には、ちゃんと自分を見てほしい。
そう思ったっていいでしょ？
「女性一人じゃ危ないですよ？」
マンションの前の公園のベンチに座っていると、後ろから声をかけられた。
「横尾さん！」
横尾さんは息子の友達のお父さんで、同じマンションに住んでいる。
「こんばんは。夜に一人は危ないですよ？夏は変な人多いから」
両手にスーパーの袋を提げて、横尾さんはそう言った。
「横尾さんがご飯作るんですか？」
「何か嫁さん、疲れてるみたいなんで」
「いいなぁ。奥さんが羨ましいです」
「そうっすか？」
よくわからないって顔をして横尾さんは首をかしげる。
横尾さんは、きっと奥さんのことをちゃんと見てる人なんだろう。
疲れてるとか、体調が悪いとか、口に出さなくてもきっとわかってくれるんだ。
「愛されてるって感じしますよ」
思わずうつむいてしまう。うちはきっと、言わないと気づいてくれないから。
「宮田さんも、すっげー愛されてるんですね」
「え？」
「あはは！汗だくだ」
横尾さんが可笑しそうに指差した先には、流れ落ちる汗を拭うこともせずに、私のもとに全速力で駆けてくる俊くんがいた。
「A〜！」
「パジャマじゃん！」
情けない声とカッコ悪い姿。
私の、世界一大好きな人。
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マキ(プロフ) - 赤とんぼさん» 初めまして★コメントありがとうございます(*^^*)このシリーズは好き嫌いがわかれるかなぁと思っていたので、好きと言ってくださって、すごく嬉しいです( ；∀；)他のお話も読んでいただけるんですね！ありがとうございます＼(^^)／感想お待ちしています！p(^-^)q (2015年9月8日 6時) (
レス) id: a31d6c9f7a (このIDを非表示/違反報告)
赤とんぼ(プロフ) - このシリーズ本当に好きです。前作も読ませていただきました！想像だけでも『ふふっ』と笑ってしまうような話でいつもほっこりした気持ちで読ませていただいてます！マキさんの他の小説もこれから読もうと思うので、またコメントさせてください♪ (2015年9月7日 22時) (レス) id: c2b27a6aff (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ゆいさん» コメント通知が来ていなくて、お返事が遅くなってしまいました(>_<)申し訳ありません。にかちゃんがお好きでいらっしゃるのに、私の書いた横尾さんを好きになってくださったなんて( ；∀；)横尾パパ、私の妄想MAX ですが、ゆいさんに気に入っていただけて嬉しいです！ (2015年8月23日 20時) (レス) id: a31d6c9f7a (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 初めまして。にかちゃんのお話を探していたら、マキさんの小説に出会い、マキさんの描く横尾さんに恋に落ちてしまいました。どの横尾さんも好きですが、このパパの横尾さんはダメです。愛おし過ぎて涙でちゃいます。これからも楽しみにしています。 (2015年8月22日 0時) (レス) id: fff3f73117 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - キスマイさん» キスマイさんも主婦されてるんですね(*^^*)何だか同じ主婦の方に出会うと、勝手に親近感を湧かせてしまいます！＼(^^)／私の主婦生活は現実感満載なので、キスマイの皆様で妄想させてもらいました笑！私の中で宮田くんが一番結婚したら幸せになれそうな気がしてます★ (2015年8月12日 11時) (レス) id: a31d6c9f7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マキ
| 作成日時：2015年8月3日 13時
