Luv Bias 北山くん ページ4
「お前、昨日終電で帰った？」
「ん？何でわかんの？ミツってエスパー？」
キョトンとする玉森に、藤ヶ谷が質問を重ねた。
「玉の家って紅葉台？」
「違うよ〜？紅葉台じゃない。え？てかどうして紅葉台で降りたことまで知ってんの？怖い怖い」
思わず、藤ヶ谷と顔を見合わせる。
“起こしてくれた人がいて・・・”
倉澤の昨日の言葉を思い出したのは、俺だけじゃなかったはずだ。
「昨日、眠っちゃって終点まで乗り過ごした女の子と一緒じゃなかった？」
藤ヶ谷の言葉に、玉森が大きく目を見開く。
「さすがに恐怖。ガヤ、俺に盗聴器仕掛けてる？」
「そんなわけないだろ。その子、俺と北山の幼馴染なんだ。昨日、タクシーに乗るまで一緒にいてくれたんだろ？」
「居眠り終点下車子ちゃんの電話の相手ってガヤだったの？」
「うん」
「すごいな。狭いな、世間」
玉森は感心したように頷く。
ざわざわと、心に波が立つ。
変な焦燥。
「あの人さぁ、すっごい気持ちよさそうに寝てたんだよね」
「え？」
「起こすの、可哀そうになったくらい」
寝顔なんて、ほとんど見たことがない。
藤ヶ谷と倉澤の年月に、俺はいつまでも追いつけなくて、追いつけないことにずっとずっと焦っている。
藤ヶ谷は、倉澤の寝顔を何度も見ているんだろうか。
昨日、少しの時間すれ違った程度の玉森の方が、俺の知らない倉澤を知っているように錯覚する。
「名前なんていうの？」
「は？」
「居眠りさんの名前」
「教えねー！」
教えない。
教えたくない。
倉澤Aは俺の初恋で、初恋は今も、初恋のままだ。
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えま(プロフ) - マキさんありがとうございます！マキさんのお話が読めるなんて最高すぎます（ ; ; ） (2022年10月25日 22時) (
レス) id: cc0da72c37 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - マキさん！お久しぶりです(泣)またマキさんのお話が読めるなんて嬉しいです！！ (2022年9月26日 6時) (レス) @page5 id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
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