第2話『好きじゃないから好き』 ページ9
「土屋、昨日ありがとな」
終業時間間際、出張から帰ってきた北山くんが、そう言ってお土産をくれた。
「・・・うん」
「どうした?玉森、何かやらかしたか?」
「やらかしたとかそういう問題じゃなくて、あの子に私の話が通じないの!」
「ん?」
「全然言うこと聞いてくれない」
「言うこと聞いてくれないって、子どもじゃねーんだから」
「だって、あのね・・・
昨日起こった出来事を北山くんに告げ口しようとする私の声を、どこからともなくやってきた玉森くんが華麗に遮った。
「お帰りなさい、北山さん」
「おう。お前何やらかしたんだよ。土屋が怒ってんぞ?」
「え?何ですか?俺、昨日は結構仕事はかどって、土屋さんに尋ねなくても、全部終わらせられたんだけどなぁ」
「だってよ?」
「違うの!仕事のことじゃなくて・・・
「仕事以外で玉森と何かあったのか?」
「・・・あ・・・えっと・・・あれ?やっぱ何もなかったかも」
「はぁ?相変わらずボサッとしてんな」
北山くんは呆れたように笑いながら、私の頭を軽く小突く。
「・・ごめん」
「あ!課長!今戻りましたー!」
課長の元に駆けていく北山くんの背中を、無意識に見つめていた。
「へぇ、好きなんだ」
センチメンタルな気分の私に耳に届く、悪魔の囁き。
「え?!」
「北山さんのことが好きなんですね」
「違・・・
「大丈夫。俺、口固いんで」
そう言って玉森くんは、長い指を自分の唇に当てた。
「あの・・・・
「北山さんにバレないように同棲しましょ?今日、合鍵作ってきてくださいね」
やられた。
うまくまるめこまれた。
もう、どうしていいかわからなくて、私は無言のまま玉森くんを睨む。
「あ、北山さんこっち見てる」
「え?!」
「嘘。弱点はやっぱり北山さんか」
「違うって言ってるてしょ?」
「妬けるなぁ」って、全然妬いてなんかないくせに、玉森くんはそう呟いて、不敵に微笑んだ。
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マキ(プロフ) - アニカさん» お久しぶりです。ちまちまとしか書けなくてなかなか筆が進みませんが、どちらとゴールするのか私も知らなくて困っています!笑どうにか完結したものをお届けできるように頑張ります(*^^*) (2021年12月12日 23時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - みゆたままさん» 頑張れるのか、後輩玉森!笑!北山さんと別れる理由もなさ過ぎて、どうしようかと思案してます( ゚Д゚) (2021年12月12日 22時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
アニカ(プロフ) - お久しぶりです。暮れに来て、またまた素敵な切ないお話!玉森くんが本当に玉森くんで(笑)食べちゃいたいほど可愛い!みっくんも不器用に優しくて泣けますね。やっぱりマキさんの作品が読めると、毎日HAPPYになります( ◜‿◝ )♡ (2021年12月8日 3時) (レス) @page1 id: c2540d2c8a (このIDを非表示/違反報告)
みゆたまま - 頑張れーー!!後輩たまもりーーー!! (2021年12月6日 0時) (レス) @page44 id: d71bf58877 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - すいさん» B型コンビのケンカ芸私も大好きです!玉森くんの飄々とした佇まいが好きなので、そういう雰囲気が少しでも出せればと思っています(^-^) (2021年11月14日 2時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
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