第2話『好きじゃないから好き』 ページ7
「・・・服!服を着て!」
「だってリュックから出すの忘れてたから」
「・・・髪乾かしたら帰ってね。もう雨も止んだし」
私がそう言うと、玉森くんは素直にシャツを着て、それから当たり前のようにソファに座った。
「どうぞ」
「どうぞ?何が?」
「髪。早く乾かして?」
「私が?!」
「ほら、早く早く」
当然だと言わんばかりの顔をするから、私は流れのままに玉森くんの髪にドライヤーを当てる。
「あ〜あったかいな」
「髪、短いんだからすぐに乾くでしょ?これくらい、自分でやればいいのに」
「やだよ。だって俺は甘やかして欲しいんだから」
「・・だから、何で私が?玉森くんって本当に変わってる。・・・よし、乾いた!これで風邪も引かずに済むよ。さぁ、帰りましょう」
「土屋さんって・・」
「え?」
「土屋さんって、俺に興味ないですよね?」
「ないよ?だってちゃんと話したのも、今日が初めてでしょ?」
ドライヤーのコードをまとめながら顔を上げると、ほんの数センチ先に、玉森くんの顔があった。
「・・・!何?!」
「土屋さんじゃなきゃダメなんだ」
「え?」
「だって、俺を好きな人とは暮らせないから」
「意味がわからないんだけど」
「だって可哀想じゃん。俺のことが好きなのに、俺はその人のこと好きじゃないんだよ?」
「君も好きになるかもしれないじゃない」
「ならないよ。俺のことが好きなんだってわかったら、途端に興味がなくなるから」
「怖い。何その性質」
「あはは!」
「どうして笑うの?」
「めっちゃ引いてんじゃん。やっぱ好きだよ。土屋さんのこと」
「え?」
「俺のこと、全然好きじゃないから好き」
はぁ?!
呆然とする私に、玉森くんはニコ〜って笑いかける。
「じゃあ、おやすみなさい」
そう言って玉森くんは、そのままソファに倒れこんだ。
「え?待って?起きてよ!帰ってくれなきゃ困る!」
何度も身体を揺すったのに、玉森くんは朝までそこを動かなかった。
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マキ(プロフ) - アニカさん» お久しぶりです。ちまちまとしか書けなくてなかなか筆が進みませんが、どちらとゴールするのか私も知らなくて困っています!笑どうにか完結したものをお届けできるように頑張ります(*^^*) (2021年12月12日 23時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - みゆたままさん» 頑張れるのか、後輩玉森!笑!北山さんと別れる理由もなさ過ぎて、どうしようかと思案してます( ゚Д゚) (2021年12月12日 22時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
アニカ(プロフ) - お久しぶりです。暮れに来て、またまた素敵な切ないお話!玉森くんが本当に玉森くんで(笑)食べちゃいたいほど可愛い!みっくんも不器用に優しくて泣けますね。やっぱりマキさんの作品が読めると、毎日HAPPYになります( ◜‿◝ )♡ (2021年12月8日 3時) (レス) @page1 id: c2540d2c8a (このIDを非表示/違反報告)
みゆたまま - 頑張れーー!!後輩たまもりーーー!! (2021年12月6日 0時) (レス) @page44 id: d71bf58877 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - すいさん» B型コンビのケンカ芸私も大好きです!玉森くんの飄々とした佇まいが好きなので、そういう雰囲気が少しでも出せればと思っています(^-^) (2021年11月14日 2時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
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