第11話『愛しい君』(玉森くん) ページ44
「お前、何で俺から離れないの？」
さっき威嚇して逃げていった猫が、いつの間にか俺のそばをうろついていた。
「懐かないでくれるかな。俺、そういうの苦手なんだ」
猫相手にそう呟いて、少し笑う。
早く家に帰ればいいのに、北山さんが土屋さんの部屋に入ってからずっと、この場所から動けずにいた。
「じゃあな」
「うん。わざわざ来てくれて、ありがとう」
北山さんと土屋さんの声が聞こえて、振り返る。
北山さんの背中を見送る土屋さんを見て、胸の奥がキュッと痛んだ。
「・・玉森くん？！ここで何してるの？！」
見送りを終えて俺に気づいた土屋さんが、目を丸くしてそう言った。
「別に」
「・・・・あの・・・ありがとう。心配してくれたんだよね？佐藤さんとのやり取り見てたから」
「心配？」
「だってわざわざ北山くんに電話・・・・
「めでたいなー！」
「え？」
「おめでたい人ですね、土屋さんは。北山さんに告げ口して、三角関係のいざこざを楽しみたかっただけかもしれないのに」
土屋さんの眉が、困ったようにハの字になる。
俺はそんな土屋さんの表情を、少しも見たくなかった。
「ありがとう」
「だから何のお礼だよ」
「心配してくれたんだってわかってるから。玉森くんは意地悪で変わってるけど、今日みたいな日は、ちゃんと心配してくれる人だって知ってる。・・・・だから、ありがと！！」
「・・・・・・声デカ。近所迷惑」
「ごめ・・・・
口元を押さえようとする彼女の手を掴んで、代わりに俺が唇を塞いだ。
驚いて固まる彼女には、お構いなしに。
好きだ。
あやふやにしてきた気持ちが、彼女へのキスで明確になる。
土屋さん、
俺は、
君のことが、好きだ。
第11話『愛しい君』(玉森くん)→←第11話『愛しい君』(北山くん)
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マキ(プロフ) - アニカさん» お久しぶりです。ちまちまとしか書けなくてなかなか筆が進みませんが、どちらとゴールするのか私も知らなくて困っています！笑どうにか完結したものをお届けできるように頑張ります(*^^*) (2021年12月12日 23時) (
レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - みゆたままさん» 頑張れるのか、後輩玉森！笑！北山さんと別れる理由もなさ過ぎて、どうしようかと思案してます( ﾟДﾟ) (2021年12月12日 22時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
アニカ(プロフ) - お久しぶりです。暮れに来て、またまた素敵な切ないお話！玉森くんが本当に玉森くんで(笑)食べちゃいたいほど可愛い！みっくんも不器用に優しくて泣けますね。やっぱりマキさんの作品が読めると、毎日HAPPYになります( ◜‿◝ )♡ (2021年12月8日 3時) (レス) @page1 id: c2540d2c8a (このIDを非表示/違反報告)
みゆたまま - 頑張れーー！！後輩たまもりーーー！！ (2021年12月6日 0時) (レス) @page44 id: d71bf58877 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - すいさん» B型コンビのケンカ芸私も大好きです！玉森くんの飄々とした佇まいが好きなので、そういう雰囲気が少しでも出せればと思っています(^-^) (2021年11月14日 2時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
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