第7話『新たな展開』 ページ31
「あらお揃いで」
玄関を開けた玉森くんは、隣にいる北山くんを見ても、別に驚いた様子は見せなかった。
「あの、玉森くん、話が・・・・
「北山さんと付き合うことになったから出てけっていうんでしょ?」
「何で・・」
「わかるのかって?だって俺がいるのわかってて北山さんを連れてくるなんてそういうことでしょ?」
「勘がいいんだね」
「土屋さんよりは」
私と玉森くんのやり取りを黙って聞いていた北山くんが、私に目配せをして口を開く。
「今日から土屋と付き合うことになった。だからこの部屋に玉森がいるのは俺が嫌だ。お前なら住む場所くらいどうにでもできるだろうし、ここを出てってくれないか?」
「・・・土屋さんの周り、3周しようと思ってたのに」
「え?」
「いいですよ。出ていきます。先輩の彼女の部屋に、居座るわけにはいきませんから」
そう言って玉森くんは、すんなりと出ていくことを了承してくれた。
戦場も修羅場もそこにはなくて、私は拍子抜けしてしまう。
「土屋?」
「あ、もしかして、俺が出ていくのが寂しいんですか?」
「全然!」
ムキになる私を見て、玉森くんがバカにしたように笑う。
出ていかないって言い張ってたのは何だったんだ。
やっぱり私には玉森くんを1ミクロンたりとも理解することはできない。
「よし、そうと決まれば行こうかな」
「え?もう行くとこ決まってるの?」
「はい。新居は契約済みです」
「何それ。少し前まで行くとこないって騒いでたくせに!」
「騒いでたのは土屋さんでしょ?じゃあ、お世話になりました」
「おい玉森、俺も荷物運ぶの手伝うよ」
「いいんですか?じゃあお願いします」
「タクシー呼ぶよ。土屋、ここの住所・・・
「あ、タクシーいらないです」
「でもこの荷物抱えて電車は無理だろ」
「7階です」
「ん?」
「引っ越し先、ここの7階なんで」
「「え?!」」
私と北山くんの驚く顔を見て、満足そうな玉森くん。
「お世話になりました」って言いながら、涼しい顔して去っていった。
「土屋」
「・・・何?」
「困ったな」
「え?」
「あんまり安心できないかも」
そう言って頭を掻く北山くんに、私は気の利いた言葉をかけることができなかった。
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マキ(プロフ) - アニカさん» お久しぶりです。ちまちまとしか書けなくてなかなか筆が進みませんが、どちらとゴールするのか私も知らなくて困っています!笑どうにか完結したものをお届けできるように頑張ります(*^^*) (2021年12月12日 23時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - みゆたままさん» 頑張れるのか、後輩玉森!笑!北山さんと別れる理由もなさ過ぎて、どうしようかと思案してます( ゚Д゚) (2021年12月12日 22時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
アニカ(プロフ) - お久しぶりです。暮れに来て、またまた素敵な切ないお話!玉森くんが本当に玉森くんで(笑)食べちゃいたいほど可愛い!みっくんも不器用に優しくて泣けますね。やっぱりマキさんの作品が読めると、毎日HAPPYになります( ◜‿◝ )♡ (2021年12月8日 3時) (レス) @page1 id: c2540d2c8a (このIDを非表示/違反報告)
みゆたまま - 頑張れーー!!後輩たまもりーーー!! (2021年12月6日 0時) (レス) @page44 id: d71bf58877 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - すいさん» B型コンビのケンカ芸私も大好きです!玉森くんの飄々とした佇まいが好きなので、そういう雰囲気が少しでも出せればと思っています(^-^) (2021年11月14日 2時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
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