第4話『初めての気持ち』 ページ18
ソファで長い脚を組んで、玉森くんが私を睨んでいる。
綺麗な人の怒った顔は、無駄に迫力があって本当に怖い。
「・・・どうして睨むの?」
「怒ってるから」
「怒られる理由がない」
「帰ってくるの遅くなるって言わなかったじゃん」
「だって私、あなたの連絡先知らないもん」
「じゃあ行かなきゃよかったじゃん」
「そんなことまで玉森くんに決められたくない!」
「だって俺、誘拐されたのかもしれないって思ったんだよ?土屋さんが全然帰ってこないから、すっごい心配したんだから」
「・・・それは・・・ごめん。でも、急に決まったことだし、玉森くんがそんなに心配するなんて思ってもみなくて・・・」
いつの間にかソファからおりていた玉森くんが、私の身体を抱きしめる。
「・・・・・玉森くん?」
「よかった。土屋さんが生きてて」
「そんな・・・大袈裟だよ」
「大袈裟なんかじゃない。俺、今ちょっと泣きそうだもん」
「・・・連絡先、交換しようか」
「する。絶対する」
子どもみたいに、玉森くんが私の身体にしがみつく。
私はどうしていいかわからなくて、玉森くんにされるがまま、抱きしめられ続けた。
「・・・玉森くん」
「ん?」
「もう、いいんじゃないかな。身体を離しても」
「嫌だ。北山さんの前で抱きつかなかっただけ偉いでしょ?ちゃんと感謝しなよ」
「・・・・それはどうも、ありがとう」
この理不尽を、
この横暴さを、
どうしても攻める気にはなれない。
だって、マンションの外で、キョロキョロと私を探す玉森くんは、本当に不安そうだったから。
「土屋さん」
「何?」
「こんな気持ち初めてで、どうしていいかわからないんだ」
「え?」
「家に帰って、土屋さんがいないのが、寂しい」
「寂しがりやなんだね」
「土屋さんだけだよ?寂しいなんて、初めて思った」
「・・・今度から、ちゃんと連絡するから」
猫みたいなのは、玉森くんの方だ。
きまぐれにこうやって甘えるくせに、私が甘えようとすれば、きっとそっぽを向いてしまう。
いつかいなくなってしまうのは、絶対に、玉森くんの方だ。
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マキ(プロフ) - アニカさん» お久しぶりです。ちまちまとしか書けなくてなかなか筆が進みませんが、どちらとゴールするのか私も知らなくて困っています!笑どうにか完結したものをお届けできるように頑張ります(*^^*) (2021年12月12日 23時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - みゆたままさん» 頑張れるのか、後輩玉森!笑!北山さんと別れる理由もなさ過ぎて、どうしようかと思案してます( ゚Д゚) (2021年12月12日 22時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
アニカ(プロフ) - お久しぶりです。暮れに来て、またまた素敵な切ないお話!玉森くんが本当に玉森くんで(笑)食べちゃいたいほど可愛い!みっくんも不器用に優しくて泣けますね。やっぱりマキさんの作品が読めると、毎日HAPPYになります( ◜‿◝ )♡ (2021年12月8日 3時) (レス) @page1 id: c2540d2c8a (このIDを非表示/違反報告)
みゆたまま - 頑張れーー!!後輩たまもりーーー!! (2021年12月6日 0時) (レス) @page44 id: d71bf58877 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - すいさん» B型コンビのケンカ芸私も大好きです!玉森くんの飄々とした佇まいが好きなので、そういう雰囲気が少しでも出せればと思っています(^-^) (2021年11月14日 2時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
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