チョコレートと花束を(F)

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「真山さん、おうち火事になっちゃったんだって？」




「どうして知ってるの？」




「さっき事務室で報告してるの聞いちゃったから」



「あぁ・・・うん。大丈夫。高価なものなんか何もなかったし




「でも住む場所とかどうしたわけ？洋服だって全部燃えちゃったんでしょ？」





興味津々なことを隠そうともせず、声をはずませながら、同期の女の子は私を質問責めにする。




「・・・知り合いが近くに住んでて、居候させてもらってる。会社は制服があるし、洋服は少し買えばよかったから」




「知り合いって？彼氏？」



「違うよ？」



「ふ〜ん」




興味を失ったのか、それ以降、彼女が質問を続けることはなかった。




無意識に、藤ヶ谷さんの席に視線を向ける。




今朝、藤ヶ谷さんと一緒にフルーツを食べたことが、何だか都合のいい妄想みたいに思えた。




「あ・・」




振動を伝える携帯にメール。




“そんなに俺のこと見てたら誤解されるよ？“




今朝、交換した連絡先。




こんな使い方もできるんだ。





思わず携帯を胸に抱きしめた。





藤ヶ谷さんは、終始、ポーカーフェイスのまま。

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