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「管理会社、何だって?」




しばらくしてようやく繋がった電話だったけど、明確な回答は得られなかった。




「あっちも立て込んでるみたいで、また明日詳しい話を聞かせてもらえるみたいです」



「そう」



「長々と付き合わせてすみませんでした。本当にありがとうございました」



そう言って頭を下げる私を、課長はじっと見つめている。




「・・・あの・・」



「これからどうするつもり?」



「ビジネスホテルにでも・・



「そこから毎日会社に通うの?」




「・・・・それしか方法がないので」




「そんなのきっと落ち着かないよ。こんなに動揺してる人が」




随分冷静になれたと思っていたけど、私の手はいまだに震えていた。




「真山さん」



「・・・え?」



「ん?」



「名前、知ってくれてたんですね」



「もちろん」



「・・・私なんて、課長には見えてないと思ってました」



「そんなわけないでしょ?真山Aさん」





課長はハンドルにもたれながら、可笑しそうに笑った。




「ところで真山Aさん」




「はい」




「俺の家に来ませんか?」





課長の言葉に思考は停止する。





「・・・・え?」





「しばらく、うちに住む?」




「え??!!」




「多分、あのアパートは建て替えるしかないし、新しい部屋を探さなきゃいけないんじゃないかな」




「・・・・それはそうですけど」





1日でいろんなことが巻き起こり過ぎて、身体も心も持たない。




課長だって災難な1日だったに決まってるのに、感情は少しもぶれていないように見える。




「・・課長はどうしてそんなに冷静なんですか?」




「あなたよりいくつか年を重ねてますから」




緊張と動揺と困惑で、また泣いてしまった私の涙を拭いながら、藤ヶ谷課長はそう言って笑った。

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マキ(プロフ) - ひとみさん» 藤ケ谷さんは絶対女性に優しいイメージがあります!私の好み1000%で書かせていただくことになると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! (2021年4月15日 16時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ(プロフ) - 藤ヶ谷課長が優しくて素敵です! (2021年1月26日 19時) (レス) id: fa74b460d6 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ★mmiioo★さん» 藤ヶ谷さんはひたすら優しい藤ヶ谷さんになりそうです!私が好きなので笑! (2021年1月26日 0時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - 優しい課長の藤ヶ谷くん(*´∀`)♪ 今後の展開に期待です! (2021年1月19日 0時) (レス) id: 9bdd0af86e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2021年1月18日 20時

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