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「どうしたの?さっきから携帯ばっか見て」
「あ、ごめんごめん」
同期のミカちゃんに注意された私は、慌てて携帯をしまう。
「・・新しい部屋を探してて」
「引っ越すの?」
「うん。やっぱ遠くて、会社」
「何でそんな遠くに住んでるわけ?」
「だってこの辺家賃高いじゃん!私、借りてる奨学金もあるから、お金ないもん」
「ふ〜ん。大変だね」
「本当に大変だよ〜」
毎日頭の中はお金のことで頭がいっぱい。
手取額を地の底まで引き下げる国民の義務である納税を、こんなに呪っているのは私だけかもしれない。
「あ、ルームシェアってのはどう?」
「ルームシェア?」
「私の友達にさ、一緒に住んでくれる人を探してる子がいるのよ」
「へぇ。場所はどこ?」
「会社のすぐ近く。駅前のマンションの最上階」
「ちょっと〜何の冗談?家賃折半だとしても私に払えるわけないじゃん」
「タダだよ?」
「え?」
「だから、タダ」
「ええ〜〜??!!」
「親からのプレゼントなんだって。だから持ち家?でも、とにかく部屋が広いみたいで、一人で暮らすのが寂しいらしいの」
「・・・そんな漫画みたいな生活してる人がいるんだねぇ。想像できないよ」
「で?どうする?」
「こんな見ず知らずの私が行っていいものなの?」
「うん大丈夫。せんちゃんが出してる条件に、Aはぴったりだから」
「条件?」
「家事を教えてくれて、騒がしくなくて、あんまり怒ったりしない人」
「家事?」
「独り暮らし初めてなんだって」
「箱入りじゃん」
「うん。だからちょっと不思議な感じの人だよ」
不思議ちゃんかぁ。
その人がどんなに突拍子のない人でも、背に腹は変えられない。
「その、せんちゃん?って人に、私のこと話してもらってもいい?」
「いいよ」
家賃分のお金が浮くのかぁ。
「ありがたい!」
こんな夢みたいな話があるだろうか。
私はまだ見ぬせんちゃんを、手を合わせて心の底から拝んだ。
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リリ(プロフ) - マキさんの作品、だいすきです!更新ありがとうございます (2022年3月13日 20時) (レス) id: 195e0203d3 (このIDを非表示/違反報告)
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