チョコレートと花束を(Ki)

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「毎日こんなふうにテイクアウトしてるんですか？」



「いや、基本外食。今日はお前がいるから買ってきた」



「・・・あの、私がご飯作りましょうか？」



「何で？」



「何でって・・・・ここにタダで住まわせてもらうわけだし、少しは役に立ちたいっていうか」



「何味かわかんねー洒落たスパイスの小瓶とか置きはじめない？」



「え？」



「夕食作って待ってたのにぃぃとか、上目遣いで俺を睨んだりしない？」



「は？」



「結婚急かされる前触れじゃん？洒落た小瓶が俺んちのキッチン占領したり、帰りが遅いのをなじられ始めるのって」



「知りませんよ。てか私が結婚急かすわけないでしょ？恋愛感情の持ち込みなしって言ったのは北山さんですよ？」



「あ、そっか」



「まぁ、毎日テイクアウトでも外食でも、北山さんがやりたいようにやれば・・・



「食う！」



「え？」



「作って！ご飯！」



「・・・はい」



「あ、楽しみにしてるから、メニューバラすのだけ無しな！」



「楽しみ？」



「今日の晩ご飯何だろうなぁって考えんの楽しいじゃん！」




「よくわかんない」



「何でわかんねーかなぁ。ワクワクするのに」



「それだけワクワクするなら、洒落た小瓶のお姉さんと結婚すればよかったのに」



「うるせーなぁ。早く食えよ！冷めんだろ？！」



ここまで北山さんを警戒させる”結婚”とは、いったいどんなものなんだろう。



誰かの体温を欲しがっているように見える北山さんなのに、その誰かに縛られることを嫌っている。




だから、私なんだ。





体温は持っているけれど、縛ることはしない。




他人が聞いたら、眉をひそめそうな関係だけど、私たちは決して、一線を越えることはないだろう。

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