36 ページ36
「知ってる?」
「え?」
「店長、月城さんのこと狙ってんの」
新刊の品出しを一緒にやっていた葛西さんが、唐突にそう言った。
「狙ってるって?月城さんのことが好きなんですか?」
「そう。何かにつけて話しかけて、月城さん困ってるもん」
「月城さん、強く拒否できるようなタイプじゃないですよね。大丈夫かな」
「さぁ、どうだろうね」
自分から話を振っておきながら、葛西さんはもうその話に興味を無くしている。
月城さんの姿を探すと、商品の整理をしている彼女の隣に、店長がぴったりと張り付いていた。
店長は少しクセのある人で、重箱の隅をつつくように従業員のミスを指摘してくる、粘着な気質の持ち主だ。
月城さんに対してもきっと、しつこいアピールをしているに違いない。
「大丈夫ですか?」
店長が接客している隙に、月城さんに駆け寄ってそう尋ねる。
「え?」
「店長。さっきからずっと、月城さんにくっついてるから」
「あぁ。もう、困っちゃうよね。私なんかのどこがいいんだろう。何度も断ってるんだけど、なかなかわかってくれなくて」
ため息をつく、月城さんの横顔が疲れている。
私が思うよりずっと、大変な目に合っているのかもしれない。
「・・あの、私でよかったら、困ってること話してください。話すだけで、気持ちが楽になることもあるから」
「ありがとう。嬉しい」
華奢だと思っていた月城さんが、今日は一段と華奢に見える。
「ご飯、食べてますか?」
「食べてるよ」
「嘘だ。今日、ガッツリしたもの食べに行きましょ?ね?」
頼りない笑顔を見て、悲しくなる。
どうにかして月城さんを助けたいって、そう思った。
949人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みき(プロフ) - マキさんご無沙汰してます。そして今頃すみません。全てのシーン私の抱いているみっくんでした。すごいなぁ〜。こんな素敵なお話を描けるマキさんは本当に優しい人なのだろう。私ではないけど彼女の私は沢山幸せをもらいました。さびしいです。ありがとうございました。 (2021年11月1日 15時) (レス) @page49 id: e2d6b3aa5d (このIDを非表示/違反報告)
わわか(プロフ) - 1つずつ終わっていくのがすごく寂しいです。マキさんの言葉、物語がとてもとても好きでした!他のメンバーの話も楽しみであり、終わってしまうのがさみしくもあり。最後までしっかり読ませていただきます! (2021年5月28日 17時) (レス) id: 3db566fc35 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちい★さん» 北山くんが主人公のお話、終わっちゃいました。私の書く北山くんが、北山くんをお好きな皆様にも温かく受け入れてもらえて嬉しかったです!ありがとうございました(*^^*) (2021年5月23日 20時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちはるさん» 元は横尾さんがお好きだったんですね(*^^*)北山くんと横尾さんの関係性がとても好きなので、二人のお話が書けて私も楽しかったです!身長差もそうですけど、情熱と冷静みたいな対極な二人がいいなぁと思っています\(^^)/ (2021年5月23日 20時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
ちい★(プロフ) - 終わっちゃって寂しいです…。マキさんの書くお話は苦しくなったり幸せになったり…リアルで大好きです!!!読み返してきます★ (2021年5月16日 11時) (レス) id: aba16733a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ