17 ページ17
寝てる。
寝てる。
ずーーーっと寝てる。
付き合ってから、初めての休日。
北山さんはお昼を過ぎても起きてこない。
毎日毎日、忙しそうな北山さんは、休みの日に寝溜めすることで、何とか生き延びているんだろう。
「身体壊しちゃうよ」
冷たくなった朝食と、作りかけてやっぱりやめた昼食を思って溜め息をつく。
人を好きになるのって、やっぱりすごく面倒くさい。
彼の健康のことまで、こんなに心配になるなんて、何だか割に合わない気がする。
「どうした?ぼーっとして」
いつの間にか起きてきた北山さをんが、一点を見つめてぼーっとする私を、不思議そうに眺めていた。
「何でみんな恋なんかしたがるんだろうと思って」
「は?思うなよ、そんなこと」
「だってだって、北山さんがお昼過ぎても起きてこないだけで、私は10回くらいムカついたんですよ?恋人になる前は、北山さんが何時に起きようが関係なかったのに、恋人になっただけで、こんなにもイラつくんだって、すごくビックリしました」
「10個もムカつくことあったんだ」
「だってずーっと寝てるから。疲れ取れた?」
「おかげさまで」
「よかった」
「ムカつくけど疲れとれてよかったって思ってくれるんだ」
「そこが人を好きになることの複雑な部分なんですよね。寝過ぎな北山さんがムカつくのに、たくさん寝れてよかったなって思っちゃう・・・みたいな」
「起きてすぐ、恋愛についての考察を聞かされるのは初めてだな」
「だって北山さんが寝てるから暇だったんだもん」
「よし、じゃあどうしてみんな恋をしたがるのか教えてやる」
「え?」
北山さんは少し笑って、私の身体をソファーに押し倒した。
「北山さん?」
驚く私にはお構いなしに、北山さんは私の身体を覆うように抱きしめる。
「こんなに近い場所にいられるのは恋人だけだよ?」
身体に、北山さんの重みと、体温を感じる。
それは確かに、すべての面倒を超越してしまえるくらいの幸福感だった。
「・・・そうだね」
「機嫌なおった?」
「なおらない。コンビニでチョコレート買ってきてくれたらなおる」
「チョコレートに負けた」
「完敗だよ」
「ぜってー負けねぇ」
そう言って北山さんは私の身体をさっきよりきつく抱きしめた。
「早く買ってきてください」
「誤魔化されねーか」
「はい」
軽く私を睨んで、北山さんは財布を掴む。
恋をしてよかったと、私は思った。
949人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みき(プロフ) - マキさんご無沙汰してます。そして今頃すみません。全てのシーン私の抱いているみっくんでした。すごいなぁ〜。こんな素敵なお話を描けるマキさんは本当に優しい人なのだろう。私ではないけど彼女の私は沢山幸せをもらいました。さびしいです。ありがとうございました。 (2021年11月1日 15時) (レス) @page49 id: e2d6b3aa5d (このIDを非表示/違反報告)
わわか(プロフ) - 1つずつ終わっていくのがすごく寂しいです。マキさんの言葉、物語がとてもとても好きでした!他のメンバーの話も楽しみであり、終わってしまうのがさみしくもあり。最後までしっかり読ませていただきます! (2021年5月28日 17時) (レス) id: 3db566fc35 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちい★さん» 北山くんが主人公のお話、終わっちゃいました。私の書く北山くんが、北山くんをお好きな皆様にも温かく受け入れてもらえて嬉しかったです!ありがとうございました(*^^*) (2021年5月23日 20時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちはるさん» 元は横尾さんがお好きだったんですね(*^^*)北山くんと横尾さんの関係性がとても好きなので、二人のお話が書けて私も楽しかったです!身長差もそうですけど、情熱と冷静みたいな対極な二人がいいなぁと思っています\(^^)/ (2021年5月23日 20時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
ちい★(プロフ) - 終わっちゃって寂しいです…。マキさんの書くお話は苦しくなったり幸せになったり…リアルで大好きです!!!読み返してきます★ (2021年5月16日 11時) (レス) id: aba16733a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ