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北山さんにたくさん泣かせてもらったあの日から、私の心は、随分落ち着きを取り戻していた。



婚約パーティーの次の日に新堂さんとすれ違った時も、「おめでとうございます」って、少しも動揺することなく、お祝いの言葉を伝えることができた。




「水上さん、まだやる?私はもう帰るけど」




「私はもう少し残ります」




「そう。あ、千賀くんと玉森くんは、出先からそのまま直帰するらしいから、水上さんが最後だからね」




「はい」




電車の時間に合わせて仕事を終えようとした時、鞄の中で、携帯が振動した。





「・・・もしもし。水上です」




『あ、水上さん?よかった、電話に出てくれて。まだ会社?』




電話の主は千賀さんで、何だかとても慌てた様子だった。




「はい。まだいますよ」




『三条さんは?三条さんもまだいるかな?』




「三条さんはさっき帰りました」




『あちゃー!マジ?うわぁ、どうしようかな』





「千賀さん?どうかしました?」




『それがさ、今日は玉森と一緒に出張で、仕事が早く終わったから二人で飲んでたんだ。そしたら今、俺の担当先でトラブルがあったって連絡があったから、今から俺はそこに向かうんだけど、玉森が酔いつぶれちゃって起きないんだ。三条さんに玉森を任せようと思ったんだけど・・・』




そこまで一息に話した後、千賀さんは申し訳なさそうに、『玉森のこと、水上さんに任せてもいいかな』ってそう言った。





私は咄嗟に、新堂さんに連絡をすべきだと思ったけど、私は連絡先を知らないし、お店の人も困っているという千賀さんの懇願に負けて、玉森先輩が酔いつぶれているという、居酒屋に向かった。

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にかみつば(プロフ) - マキさん» いえいえ。読んでみたいなと思った物から読んでいたので、教えてもらってなかったら後回しにしてしまっていたと思うので、素敵な作品に出会えて嬉しかったです。これからも楽しみにしています。 (2020年7月13日 22時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかみつばさん» こちらを既に読まれていると勝手に思い込んでいました(>д<)ネタバレでしたね!すみません( ;∀;)この話はなかなか辛いものがありますよね。自分で書いてて可哀想って思ってました笑! (2020年7月13日 16時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 他小説へのコメントの返信を拝見しこちらも読んでみたくなりました。優しさを優しさと受け取る事が許されない切なさや、婚約パーティーに出席しようと決めた心情などが丁寧に書かれていて引き込まれました。この主人公の女性の心も綺麗過ぎて泣けます。 (2020年7月12日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかはるさん» ありがとうございます(*^^*)切ない気持ちになってくださって嬉しいです!先は私にも全然見えてなくて怖いですが、《2》にも遊びにきていただけたらと思います(^-^) (2020年5月31日 10時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
にかはる(プロフ) - 切なすぎて号泣です!!続きも楽しみにしています! (2020年5月29日 23時) (レス) id: 1c69577c40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年11月25日 23時

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