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パーティーが終わる少し前に、会場を出た。


乗車したタクシーの中で、北山さんはずっと私の手を握ってくれていた。



「降りるぞ」



北山さんに促されて降りた場所は、見覚えのない住宅地。




「・・・あの・・・




「俺んちに行こう」




「え?」




「勘違いするなよ?!・・・だってお前今から泣くじゃん。絶対泣くじゃん。なりふり構わず泣ける場所は、俺の部屋しかないかなぁって・・」




「・・・そんなに激しく泣かないです」




「そうか?結構、うちひしがれてると思うけど」




そう言って北山さんは笑う。




その笑い方が優しくて、私はやっぱり泣いてしまう。




「おい、まだ家に着いてないぞ」




「・・・ごめんなさい」




「あーあ。泣く女、あんま好きじゃないんだけどな」




私の手を引いて、北山さんはブツブツと文句を言いながら歩く。





「・・何でだろうな」




「・・・・え?」




「何で、お前ならいいんだろう」





「・・・何・・が?」





「何でお前なら、泣いてても可愛いって思うんだろう」







私は、違う人を想って泣いているのに、




北山さんは全部わかっているのに、





どうしてそんな言葉を私にくれるんだろう。






「・・北山さん」





「ん?」





「・・私は・・北山さんに、多分何もしてあげられることはありません」





「なーに言ってんだ。俺が一方的に、お前に構ってたいだけだよ。結論なんて、まだまだ先でいい」





そう言って、繋いだ手を、北山さんは強く握り返す。





「あんまり優しくしないで下さい。私はそんなことしてもらえるような女じゃな・・・





「俺が勝手に好きなだけだから、無条件に優しくされてろ」





北山さんは私の髪をぐちゃぐちゃに撫でて、「ぼろぼろじゃん」って、笑った。





北山さんに見守られながら、私は、思いっきり泣いてしまった。

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にかみつば(プロフ) - マキさん» いえいえ。読んでみたいなと思った物から読んでいたので、教えてもらってなかったら後回しにしてしまっていたと思うので、素敵な作品に出会えて嬉しかったです。これからも楽しみにしています。 (2020年7月13日 22時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかみつばさん» こちらを既に読まれていると勝手に思い込んでいました(>д<)ネタバレでしたね!すみません( ;∀;)この話はなかなか辛いものがありますよね。自分で書いてて可哀想って思ってました笑! (2020年7月13日 16時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 他小説へのコメントの返信を拝見しこちらも読んでみたくなりました。優しさを優しさと受け取る事が許されない切なさや、婚約パーティーに出席しようと決めた心情などが丁寧に書かれていて引き込まれました。この主人公の女性の心も綺麗過ぎて泣けます。 (2020年7月12日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかはるさん» ありがとうございます(*^^*)切ない気持ちになってくださって嬉しいです!先は私にも全然見えてなくて怖いですが、《2》にも遊びにきていただけたらと思います(^-^) (2020年5月31日 10時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
にかはる(プロフ) - 切なすぎて号泣です!!続きも楽しみにしています! (2020年5月29日 23時) (レス) id: 1c69577c40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年11月25日 23時

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