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勢いよく開いた扉の先には、息を切らした北山さんがいて、そこにいた全員の視線が一気に北山さんに集まった。
「何事?」
そう尋ねたのは三条さんなのに、北山さんは真っ直ぐに私を見ている。
「・・・北山さん?」
「お前、本当に玉と新堂の婚約パーティーに行くのか?」
「・・・はい。招待されたので」
「ばっっっかじゃねーの?」
「どうしたんですか?何で怒ってるの?」
私を睨み付けながら、北山さんは私の目の前に招待状を突き付ける。
「俺も行くから」
「え?」
「招待されたからな!お前をエスコートしてやるよ」
なぜか喧嘩腰に、北山さんはそう言った。
「ごめん、ミツ」
さっきまでずっと黙っていた玉森先輩が、そう言って立ち上がる。
「新堂さんのワガママにつきあわせてごめん。・・・水上さんも、無理に来なくていいから。彼女には俺からよく言い聞かせるよ」
私はこんなふうに、困っている先輩を見たくない。
玉森先輩は、自分勝手で横暴で、猫みたいに気まぐれでいてくれなきゃ嫌なの。
私をからかって、楽しそうに笑って欲しい。
私のことで、絶対に困ったりして欲しくない。
「私は行きます。ドレスも靴も、ちゃんと揃えてるし、婚約パーティー以外で着る場所なんてないから、出席しなきゃもったいないです」
「お前はそれでいいんだな?」
「はい」
「じゃあ俺も、ちゃんとエスコートしてやる」
少し乱暴な、北山さんの優しさを感じていた。
玉森先輩を困らせないためにも、ちゃんと二人を祝福しなきゃ。
一点の曇りもない笑顔で、ちゃんとお祝いの言葉を言わなきゃ。
「楽しみですね」
私の強がりに、きっと玉森先輩は気づいている。
しばらく私の顔を凝視した後、先輩は静かにオフィスから出て行ってしまった。
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にかみつば(プロフ) - マキさん» いえいえ。読んでみたいなと思った物から読んでいたので、教えてもらってなかったら後回しにしてしまっていたと思うので、素敵な作品に出会えて嬉しかったです。これからも楽しみにしています。 (2020年7月13日 22時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかみつばさん» こちらを既に読まれていると勝手に思い込んでいました(>д<)ネタバレでしたね!すみません( ;∀;)この話はなかなか辛いものがありますよね。自分で書いてて可哀想って思ってました笑! (2020年7月13日 16時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 他小説へのコメントの返信を拝見しこちらも読んでみたくなりました。優しさを優しさと受け取る事が許されない切なさや、婚約パーティーに出席しようと決めた心情などが丁寧に書かれていて引き込まれました。この主人公の女性の心も綺麗過ぎて泣けます。 (2020年7月12日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかはるさん» ありがとうございます(*^^*)切ない気持ちになってくださって嬉しいです!先は私にも全然見えてなくて怖いですが、《2》にも遊びにきていただけたらと思います(^-^) (2020年5月31日 10時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
にかはる(プロフ) - 切なすぎて号泣です!!続きも楽しみにしています! (2020年5月29日 23時) (レス) id: 1c69577c40 (このIDを非表示/違反報告)
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