42・北山さん ページ42
「北山くん!」
アクビを噛み殺しながら廊下を歩いている俺を、どこからともなく現れた新堂が呼び止める。
「ん?俺?」
「お願いがあるんだけど」
「何だよ」
「来週、私と玉森くんの婚約パーティーがあるの。北山くんも来てくれない?」
「はぁ?やだよ。偉い人しか行かないやつだろ?ぜってー行かねぇ」
「そんなこと言わないで?北山くんには水上さんのエスコートをしてもらおうと思ってるんだから」
「水上?」
聞き捨てならない名前に、思わず反応してしまう。
「そうよ?水上さんも招待したの」
「あいつは契約社員だろ。偉いさんしかこないパーティーに何で水上を呼ぶんだよ」
「どうして怒るの?水上さんは玉森くんの後輩だからお祝いしてもらおうと思って呼んだのに。もういい。北山くんには頼まない」
機嫌を損ねる新堂から、招待状を引ったくる。
「行くよ!」
「本当?!よかった。水上さんにも伝えておくね」
ふわふわと幸せの絶頂を漂っているように見える新堂は、水上をどんなふうに思っているだろう。
少なくとも水上は、玉森のことを、ただの先輩だなんて思っていないはずだ。
「新堂!」
「なぁに?」
「お前、自信ないのか?」
さっきまでニコニコと微笑んでいた新堂が、苦々しげに顔を歪める。
「北山くんの言ってる意味がわからない」
「ふーん」
新堂のやり方は気にくわないけれど、水上のエスコート役に、俺を選んだことは褒めてやりたい。
あいつはどんな気持ちで、婚約パーティーへの出席を決めたんだろう。
どうしても我慢できなくて、俺は三条班のオフィスに走った。
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にかみつば(プロフ) - マキさん» いえいえ。読んでみたいなと思った物から読んでいたので、教えてもらってなかったら後回しにしてしまっていたと思うので、素敵な作品に出会えて嬉しかったです。これからも楽しみにしています。 (2020年7月13日 22時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかみつばさん» こちらを既に読まれていると勝手に思い込んでいました(>д<)ネタバレでしたね!すみません( ;∀;)この話はなかなか辛いものがありますよね。自分で書いてて可哀想って思ってました笑! (2020年7月13日 16時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 他小説へのコメントの返信を拝見しこちらも読んでみたくなりました。優しさを優しさと受け取る事が許されない切なさや、婚約パーティーに出席しようと決めた心情などが丁寧に書かれていて引き込まれました。この主人公の女性の心も綺麗過ぎて泣けます。 (2020年7月12日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかはるさん» ありがとうございます(*^^*)切ない気持ちになってくださって嬉しいです!先は私にも全然見えてなくて怖いですが、《2》にも遊びにきていただけたらと思います(^-^) (2020年5月31日 10時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
にかはる(プロフ) - 切なすぎて号泣です!!続きも楽しみにしています! (2020年5月29日 23時) (レス) id: 1c69577c40 (このIDを非表示/違反報告)
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