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私のことが・・・好き?
あまり向けられた覚えのない感情に、驚きすぎて固まってしまう。
「水上?おい、聞いてんのか」
「・・・そんなわけないです」
「何が?」
「私を好きだなんて、そんなことあり得ない」
「あり得てんじゃん。俺、好きって言ってんじゃん」
「私と北山さんは知りあってから日が浅いのに、どうして好きなんて言えるんですか?」
「え?知りあってから3ヶ月たたないと好きになっちゃいけないとか、半年たたないと好きって言っちゃいけないって決まってんの?」
「それは・・・
「今思ったんだよ。好きだなって。何かいいなって。 そう思ったから好きだって言った。何か文句あんの?」
喧嘩腰に、多分、告白されている。
こんなに真っ直ぐに気持ちを伝えられたのは、生まれて初めての経験だった。
「・・でも、私は北山さんを好きになってないです」
「今から好きになればいいじゃん」
「そんなの保証なんてできないじゃないですか」
「なるっしょ」
私の手を握ったまま、北山さんはそう言って笑う。
「・・どこから来るんですか?その自信」
「気合いと根性で、俺のことを好きにさせる。まぁ、しばらく一緒に過ごしてみよーぜ?手始めに今日は水上が俺にメシを作るってことで」
「無理です!」
「ダメだよ。決定事項だから。ただし、俺は絶対お前に手を出さない。お前が俺を好きになるまで、そこはちゃんと線引きするから」
ずっと調子のいいことを言っていた北山さんが、この時ばかりは真剣な表情を作る。
「水上」
「・・・何ですか?」
「何事も、試してみなきゃわかんねーぞ?」
「・・・はい」
観念して、頷いた。
私も、前に進まなきゃ。
玉森先輩が、あの日、ちゃんと失恋させてくれたんだから。
「ご飯、何がいいですか?」
「肉!」
「却下」
何でだよって唇を尖らせながら、北山さんは、私の手を引いて、今度は、私の歩幅に合わせてくれた。
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にかみつば(プロフ) - マキさん» いえいえ。読んでみたいなと思った物から読んでいたので、教えてもらってなかったら後回しにしてしまっていたと思うので、素敵な作品に出会えて嬉しかったです。これからも楽しみにしています。 (2020年7月13日 22時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかみつばさん» こちらを既に読まれていると勝手に思い込んでいました(>д<)ネタバレでしたね!すみません( ;∀;)この話はなかなか辛いものがありますよね。自分で書いてて可哀想って思ってました笑! (2020年7月13日 16時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 他小説へのコメントの返信を拝見しこちらも読んでみたくなりました。優しさを優しさと受け取る事が許されない切なさや、婚約パーティーに出席しようと決めた心情などが丁寧に書かれていて引き込まれました。この主人公の女性の心も綺麗過ぎて泣けます。 (2020年7月12日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかはるさん» ありがとうございます(*^^*)切ない気持ちになってくださって嬉しいです!先は私にも全然見えてなくて怖いですが、《2》にも遊びにきていただけたらと思います(^-^) (2020年5月31日 10時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
にかはる(プロフ) - 切なすぎて号泣です!!続きも楽しみにしています! (2020年5月29日 23時) (レス) id: 1c69577c40 (このIDを非表示/違反報告)
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