三つ編みをほどかれた日(赤色編)

24・玉森先輩 ページ24

部屋の窓から、明かりが漏れている。



その幸せな光景を、自分の感情がそう捉えないことに、いつも罪悪感を覚えてしまう。





「ただいま」




「お帰りなさい」




「新堂さ・・・




「名前で呼んで？いつになったら慣れてくれるの？」




「ごめん」




「ううん。・・・・あの・・・今日はごめんなさい。どうかしてた」





華やかな顔立ちの、俺の恋人。

　


感情の起伏は少し激しいけど、それは、彼女が自分の気持ちに素直なんだからだと思う。







「莉子」




名前を呼んだら、彼女は嬉しそうに、口元をほころばせた。





「お腹すいた」





「ご飯、できてるよ」






これでいいんだ。





いつか、この毎日が俺の中に馴染んでいくから。






「莉子」




「ん？」






君の名前も馴染むだろうか。




何度も何度も名前を呼んだら、君が、俺に馴染んでいくのかな。




「私も裕太って呼んでいい？」




「もちろん」





食卓を整えようとする、彼女の肩を抱き寄せた。





「・・裕・・太？」





「自分だって照れてんじゃん。俺の名前を呼ぶの」





「だって・・・





「慣れるよ、そのうち」






“玉森先輩！”





ふいに甦る声に、まぶたをぎゅっと閉じた。





「莉子」





封じ込めるように、莉子の唇を激しく塞いだ。

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