47 (お姉ちゃん) ページ47
「和香ちゃん、落ち着いて。始発で帰ってくるって言ってたんでしょ?もうすぐだよ」
リビングをうろうろ歩き回る私を見て、としくんが呆れたように笑う。
「心配なの!Aの様子、すっごくすっごくおかしかったから」
昨日、早い時間にバイトから帰ってきたAは、泣きながら私に外泊させて欲しいと懇願した。
"玉森くんと何かあったの?"
そう尋ねても、私の質問には答えずに、"一生のお願いだから"って、何度も何度も繰り返した。
「そんなに心配なら許可しなきゃよかったのに」
「だって、後悔するって言うんだもん。今日しかないんだって、今日だけは玉森くんと一緒にいたいって、だらだら涙流すのよ?そんなAを見て、ダメだなんて言える?」
「・・言えない」
「でしょ?」
「でも、何があったのかなぁ。早く解決してくれればいいけど。Aちゃんと玉が悲しむ姿は見たくない」
出勤の準備をするとしくんを手伝っていると、玄関をあける音がして、私は急いでAを出迎えた。
「・・・おかえり、A」
「ただいま、お姉ちゃん」
泣き笑いみたいに、Aが顔を歪める。
「Aちゃん!どうしたの!」
ポロポロと涙を流すAを見て、としくんも目を見開いて驚いた。
「・・玉森くんと、何かあったの?」
Aの肩を抱いてそう尋ねても、Aは首を振るだけだった。
「Aちゃん、何があったのか言って?俺と和香ちゃんは、君のお姉ちゃんとお兄ちゃんだから、Aちゃんを助けたいし、力になりたい」
「そうよ?ちゃんと言ってくれなきゃ助けることもできないでしょ?」
Aは手の甲で涙を拭って、意を決したように顔を上げる。
「私、玉森さんと別れるの」
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にかみつば(プロフ) - 北山くんのお話を優先して読んでたのですが、こちらも読んでみたらとても面白くてハマりました。三上先生の登場で更に面白い展開になってきて続きが楽しみです。いつも素敵なお話を作ってくださり、公開してくださりありがとうございます。 (2020年7月17日 16時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - marumarusubasubさん» marumaruさんは、もしかして横尾担様でしょうか?もしそうなら一緒です〜\(^^)/こちらが終わったら、書きかけの横尾さんのお話に取り組みたいと思ってます。いくつかお話をかかえてないと頑張れないので、未完がたくさんあるのがたまに傷な私です笑(*´-`)頑張ります★ (2019年9月16日 8時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
marumarusubasub(プロフ) - レスありがとうございます。嬉しいです。すごく読みやすく、特に横尾さんのお話大好きです。個人的に横尾さんのお話熱望ですm(_ _)mこれからも楽しみにしています! (2019年9月14日 20時) (レス) id: 7cd9d44213 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちい★さん» 本当に( ;∀;)やっとだったのに。設定的に30年近くかけて、初めて人を好きになったのに。。という、やりきれない気持ちになりました(自分で書いておきながら笑)。皆さんが願ってくださるラストになればいいなと思いながら(私も先は知らないのです)更新がんばります★ (2019年9月14日 15時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - わわかさん» わわわわ(*´-`)私の書いたお話にかわいさを感じてくださってるなんて〜(*^-^*)嬉しいな♪ちょっと今の展開は穏やかではありませんが、ほんわかじんわりなお話に戻れるように苦しい場面を乗り越えたいと思いますp(^^)q (2019年9月14日 15時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
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