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「A、彼氏できたでしょ?」
大学の近くのファミレスで、友達が唐突にそう言った。
「え?どうして?」
「最近、たまにニヤついてるよ?気づいてないんだろうけど、すっごい不気味」
「・・うわ・・恥ずかしい」
「で?どんな人?同じ大学?」
「違う。もう社会人」
「ふーん。年上なんだ」
「・・・だいぶね」
「え?そんなに年上なの?まさか妻子持ちとかじゃないよね?」
「違う違う。そんなんじゃない。お姉ちゃんの大学の同級生なの。それで・・・
玉森さんのことをどんなふうに説明しようか迷っていると、突然伸びてきた手が、食後に頼んだショートケーキの苺をつまんだ。
「え?」
驚いて顔を上げると、そこにいたのはスーツ姿の玉森さん。
「玉森さん?!」
「飯食った後にケーキも食べんのか。お前の胃袋すげーな」
「・・・あの、何してるんですか?」
「今、学年末考査の真っ最中で生徒が昼で帰んだよ。あいつら早く帰すとロクなことしねーから、パトロールさせられてんの」
「・・そうなんだ」
「A?もしかしてこの人?」
友達が私の袖をつかんで、こそこそと耳打ちする。
「・・・うん」
「あ、Aの友達?」
「はい」
「どーも。玉森です」
ニコ〜って、ゆるゆると微笑む玉森さん。
いつもは夜に会うことが多いけど、真昼の玉森さんもやっぱり綺麗だ。
「・・玉森さん、お仕事の続きは?パトロール」
「あ、そうだった」
玉森さんはダルそうに時計を見て、「めんどくせー」って呟いた。
「じゃあ、ごゆっくり」
玉森さんは友達に手を振ると、目の前に置いてあった伝票を掴んだ。
「え?いいですよ!自分で払います!」
「苺、食べちゃったから」
「でも・・・ 」
「こういうとこ、時間なくてまともに連れてってやれないから。また友達に付き合ってもらえよ」
伝票で私の頭をポンポンって叩いて、玉森さんは行ってしまった。
「A!彼氏すごいかっこいいじゃん!」
「・・・そうだよね。かっこいいよね」
「のろけないでよ」
「そんなんじゃなくて・・・なんていうか、あの人が私の恋人ってことが今でも不思議なの」
毎日、玉森さんへの気持ちは更新されていく。
玉森さんの私への気持ちは、ちゃんと更新されてるかな。
少しだけ不安なこの気持ちが恋なんだって、私は玉森さんから教わった。
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にかみつば(プロフ) - 北山くんのお話を優先して読んでたのですが、こちらも読んでみたらとても面白くてハマりました。三上先生の登場で更に面白い展開になってきて続きが楽しみです。いつも素敵なお話を作ってくださり、公開してくださりありがとうございます。 (2020年7月17日 16時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - marumarusubasubさん» marumaruさんは、もしかして横尾担様でしょうか?もしそうなら一緒です〜\(^^)/こちらが終わったら、書きかけの横尾さんのお話に取り組みたいと思ってます。いくつかお話をかかえてないと頑張れないので、未完がたくさんあるのがたまに傷な私です笑(*´-`)頑張ります★ (2019年9月16日 8時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
marumarusubasub(プロフ) - レスありがとうございます。嬉しいです。すごく読みやすく、特に横尾さんのお話大好きです。個人的に横尾さんのお話熱望ですm(_ _)mこれからも楽しみにしています! (2019年9月14日 20時) (レス) id: 7cd9d44213 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちい★さん» 本当に( ;∀;)やっとだったのに。設定的に30年近くかけて、初めて人を好きになったのに。。という、やりきれない気持ちになりました(自分で書いておきながら笑)。皆さんが願ってくださるラストになればいいなと思いながら(私も先は知らないのです)更新がんばります★ (2019年9月14日 15時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - わわかさん» わわわわ(*´-`)私の書いたお話にかわいさを感じてくださってるなんて〜(*^-^*)嬉しいな♪ちょっと今の展開は穏やかではありませんが、ほんわかじんわりなお話に戻れるように苦しい場面を乗り越えたいと思いますp(^^)q (2019年9月14日 15時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
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