32 (宮田くん) ページ32
「真野、いる?」
平日にも関わらず、仕事帰りらしい玉が、フラっとうちに現れた。
「Aちゃん、今日はバイトだよ?」
「知ってんだけど。真野に用があんの」
「Aちゃんじゃなくて和香ちゃん?」
「だからそうだって言ってんだろ」
「え?何の用?まさか和香ちゃんのこと好きになったりしてないよね?」
「は?」
俺の冗談に、玉は心底嫌そうな顔をした。
キッチンには、夕飯の準備をしている和香ちゃんがいて、急に現れた玉に、目を見開いて驚く。
「え?玉森くん?何してるの?」
「真野に用があって」
「私?」
「うん」
「何?」
「門限、もうちょいどうにかなんないの?」
「門限?」
「Aの。22時じゃなんもできないんだけど」
「何もできないように22時にしてるのよ」
「嫌がらせかよ。ケチケチばばあ」
「としくん!この人私のことばばあって言ったんだけど!」
玉が悪口を言ったのに、和香ちゃんは俺の胸ぐらを掴んでガクガクと揺らす。
「玉、何てこと言うんだよ。俺の可愛い奥さんに向かって」
「だってそいつ超意地悪なんだもん」
なんて幼稚なんだ。
まるで子どものケンカに巻き込まれてる保護者の気分。
「和香ちゃん、俺からもお願いしていいかな。Aちゃんも大人なんだし、終電に間に合えば、それでいいんじゃない?」
「・・・やだ」
「和香ちゃんも妹離れしなきゃ。あと1年もすれば、Aちゃんもこの家を出るだろうし」
「そーだそーだ」
「玉も!和香ちゃんにばばあなんて言わない!だいたい同い年でしょ?しかも和香ちゃんは玉の彼女のお姉ちゃんなんだよ?」
二人に懇々と説教をしていると、バイトから帰ってきたAちゃんが、リビングの入り口で固まっていた。
「・・・玉森さん?」
「お帰り、A」
今まで和香ちゃんと睨み合っていたのに、玉は目尻を下げてヒラヒラと手を振っている。
「何してるんですか?」
「聞いてよA!この人、私にばばあって言ったのよ?!」
「え?マジ?ひでーな宮田。真野はお前の可愛い奥さんだろ?」
「告げ口されてるのはお前だよ!」
状況がつかめずに、Aちゃんは俺たち3人を交互に見渡す。
俺の奥さんの可愛い妹。
俺の親友の大切な恋人。
君がいなきゃ、俺はこの二人を止められない。
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にかみつば(プロフ) - 北山くんのお話を優先して読んでたのですが、こちらも読んでみたらとても面白くてハマりました。三上先生の登場で更に面白い展開になってきて続きが楽しみです。いつも素敵なお話を作ってくださり、公開してくださりありがとうございます。 (2020年7月17日 16時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - marumarusubasubさん» marumaruさんは、もしかして横尾担様でしょうか?もしそうなら一緒です〜\(^^)/こちらが終わったら、書きかけの横尾さんのお話に取り組みたいと思ってます。いくつかお話をかかえてないと頑張れないので、未完がたくさんあるのがたまに傷な私です笑(*´-`)頑張ります★ (2019年9月16日 8時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
marumarusubasub(プロフ) - レスありがとうございます。嬉しいです。すごく読みやすく、特に横尾さんのお話大好きです。個人的に横尾さんのお話熱望ですm(_ _)mこれからも楽しみにしています! (2019年9月14日 20時) (レス) id: 7cd9d44213 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちい★さん» 本当に( ;∀;)やっとだったのに。設定的に30年近くかけて、初めて人を好きになったのに。。という、やりきれない気持ちになりました(自分で書いておきながら笑)。皆さんが願ってくださるラストになればいいなと思いながら(私も先は知らないのです)更新がんばります★ (2019年9月14日 15時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - わわかさん» わわわわ(*´-`)私の書いたお話にかわいさを感じてくださってるなんて〜(*^-^*)嬉しいな♪ちょっと今の展開は穏やかではありませんが、ほんわかじんわりなお話に戻れるように苦しい場面を乗り越えたいと思いますp(^^)q (2019年9月14日 15時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
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