1 ページ1
「ほんとにいいの?私がここにいても」
2人掛けのソファでいちゃついている、姉夫婦にそう尋ねた。
「もちろんだよ」
にこやかに答えたのは、お姉ちゃんの旦那様の宮田さんで、二人は、一週間前に式を挙げた。
「しょうがないでしょ?お父さんが一人暮らしは禁止だって言ってるんだから」
「・・うん」
もともとお姉ちゃんと二人で住んでいたマンション。
宮田さんはとてもいい人だから、新婚さんの邪魔になるんじゃないかっていうこと以外に、私も抵抗はなかった。
「大学卒業したら、Aは実家に帰るんでしょ?」
「うん」
「じゃあ全然いいよね?あと1年半だし」
「俺は和香ちゃんと一緒なら、どこでもいいんだよ」
「私も、としくんがいれば、こんなお邪魔虫がいても耐えられる」
完全にアウェイ。
だけど、これだけ自分たちの世界に入り込めるなら、全然気を遣わなくても済みそうだ。
「宮田さん、荷物これだけですか?」
「もうすぐ、残りが届くと思う。でも最小限にしたから安心してね。和香ちゃんの部屋に全部入るから」
宮田さんとお姉ちゃんは、大学時代の同級生で、二人曰く、とんでもないハードルを越えて、結婚するに至ったらしい。
「あ、荷物届いたのかな」
インターホンが鳴って、私はモニターを確認する。
「宅配便ですか?」
インターホン越しに訪ねると、画面に映った男の人は、キャップを目深にかぶって頷いた。
3人で玄関先に向かう。
宮田さんが扉を開けた先にいたのは、荷物なんて持っていない、真っ白な肌な男の人だった。
「玉!!」
宮田さんが声を裏返して叫ぶ。
キャップを取った男性は、宮田さんをじっとりと睨んで、勝手に部屋の中に上がり込んだ。
「・・ちょっと、玉森くん?!」
慌てた様子で、お姉ちゃんと宮田さんは、謎の色白男性を追いかけていく。
ポツンと取り残された私は、状況に着いていけず、しばらくその場に立ち尽くしていた。
1572人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にかみつば(プロフ) - 北山くんのお話を優先して読んでたのですが、こちらも読んでみたらとても面白くてハマりました。三上先生の登場で更に面白い展開になってきて続きが楽しみです。いつも素敵なお話を作ってくださり、公開してくださりありがとうございます。 (2020年7月17日 16時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - marumarusubasubさん» marumaruさんは、もしかして横尾担様でしょうか?もしそうなら一緒です〜\(^^)/こちらが終わったら、書きかけの横尾さんのお話に取り組みたいと思ってます。いくつかお話をかかえてないと頑張れないので、未完がたくさんあるのがたまに傷な私です笑(*´-`)頑張ります★ (2019年9月16日 8時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
marumarusubasub(プロフ) - レスありがとうございます。嬉しいです。すごく読みやすく、特に横尾さんのお話大好きです。個人的に横尾さんのお話熱望ですm(_ _)mこれからも楽しみにしています! (2019年9月14日 20時) (レス) id: 7cd9d44213 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちい★さん» 本当に( ;∀;)やっとだったのに。設定的に30年近くかけて、初めて人を好きになったのに。。という、やりきれない気持ちになりました(自分で書いておきながら笑)。皆さんが願ってくださるラストになればいいなと思いながら(私も先は知らないのです)更新がんばります★ (2019年9月14日 15時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - わわかさん» わわわわ(*´-`)私の書いたお話にかわいさを感じてくださってるなんて〜(*^-^*)嬉しいな♪ちょっと今の展開は穏やかではありませんが、ほんわかじんわりなお話に戻れるように苦しい場面を乗り越えたいと思いますp(^^)q (2019年9月14日 15時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ