第六話『好きになってはいけない人』 ページ28
「体調、大丈夫なの？」
「うん。いろいろ、ありがとう」
玉森くんとの会話は、一日を通してそのやり取りだけだったかもしれない。
玉森くんを意識しないようにすればするほど、玉森くんのことを考えてしまう。
だから、意識的に、私は玉森くんとの接触を最小限に抑えることに決めた。
「お疲れ様でした」
早々と仕事を切り上げて、私は会社を出る。
想像以上の苦しさ。
好きな人を、これ以上好きにならないように細心の注意を払うことは、こんなにも苦しいんだ。
「・・・あの」
聞き覚えのある声に、足を止める。
「・・・あの・・栗原さん、ですよね？」
「はい！そうです」
目の前には、顔を強ばらせた吉岡さんがいて、言いにくそうに、静かに口を開いた。
「・・・昨日の夜、裕太は栗原さんのおうちにいたんですよね？」
「・・はい。すみません！私、玉森くんの目の前で倒れちゃって、玉森くんが病院まで付き添ってくれました。玉森くん、親切だから、そのまま私の看病までしてくれて・・・。最近激務だったから、疲れて眠っちゃったんだと思います」
「そうですか。裕太の説明と同じです」
「本当にごめんなさい！吉岡さんがどれだけ心配だったか・・・・すごく反省してます。玉森くんが親切だからって、それに甘えるべきではなかったです」
あまりの申し訳なさに、顔をあげることができない。
身体の線の細い吉岡さんが、今日はより一層、頼りなく見える。
「栗原さん、裕太と同じクラスだったんですね」
「え？」
「高校生の頃。昨日、彼がいなかったから、手持ち無沙汰で、いつもは手に取らない彼の卒業アルバム見たんです。同じページに写ってました。裕太と栗原さん」
「・・・・はい」
「どうして隠すの？」
「隠すなんて、そんな・・・」
「裕太も、上司の横尾さんの話はするけど、栗原さんの話は極端にしない。変です、何か」
「・・・・吉岡さんが不安に思うのも無理ないです。だけど、玉森くんにとって、私は恋愛対象とかそういうのではなくて、ただの同級生で・・・
「あなたは？」
「え？」
「あなたにとって裕太は、そういう対象ではないんですか？」
ダメ。
見透かされちゃいけない。
私の中にあるこの気持ちは、誰も幸せにしないから。
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マキ(プロフ) - かのんさん» うわーん( ；∀；)嬉しいです！ありふれたありきたりな話しか書けませんが、好きだと言ってもらえてすごーーく嬉しいです(*^^*) (2021年4月17日 13時) (
レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - もう、本当に本当に大好きです！マキさんの作品、本当に大好きです！！ (2021年4月16日 19時) (レス) id: 46e739e0e0 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - eiennianatadakeさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)私の書いたもので少しでも心が温まってくださったのなら、こんなに嬉しいことはありません(*^^*) (2021年4月15日 16時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
eiennianatadake(プロフ) - とても心が温かくなるようなお話でした！展開にハラハラしたり泣けちゃったり次回のお話も楽しみにしています！ (2021年3月4日 3時) (レス) id: 69ceef1236 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - umiさん» このお話を好きになっていただけて嬉しいです！玉森くんのドラマが始まる前に書き終えたんですが、もうドラマも終盤ですね！時間が経つのが早くてびっくりしてます笑！ (2021年3月3日 0時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
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