検索窓
今日:8 hit、昨日:13 hit、合計:265,062 hit

第三話『鬼上司と子犬のワルツ』 ページ14

注文した料理が運ばれてきた頃、横尾さんがお店の入り口を見て、食事の手を止めた。



「玉森?」



「え?」



思わず振り返った私の目に映る、玉森くんと玉森くんの恋人。



視線に気付いたのか、玉森くんは私と横尾さんを見て、少しだけ驚いた顔をした。



玉森くんが店員さんに何か言って、二人が私たちの席に近づいてくる。



「隣いいですか?」



「何でだよ」



横尾さんが嫌な顔をしたのに、玉森くんは隣のテーブル席に座る。



「・・裕太、ご迷惑じゃないの?あの、すみません」



彼女が申し訳なさそうに頭を下げると、横尾さんは聞いたこともないような優しげな声を出す。



「大丈夫ですよ。あ、僕は玉森くんの上司の横尾です。初めまして」



「吉岡紗弥です」



「玉森くんの彼女ですか?」



「はい。彼がいつもお世話になってます」



やっぱり玉森くんの彼女は常識的で、ちゃんとしている。



「・・・あの、この前お会いしましたよね?会社の前で」



吉岡さんにそう言われて、私は慌てて立ち上がる。



「あ・・はい!栗原です。玉森くんと一緒に、横尾さんに指導してもらってます」



玉森くんと同じ高校だったことは、どうしてかわからないけど、言ってはいけないような気がした。



「紗弥、俺が言った通りだったでしょ?般若みたいなお面つけてるって」



「ちょっと裕太・・・」




「般若?俺のことか?」



「だって横尾さん、いつも栗原を怒ってばっかじゃないですか」



「お前に怒ってんだよ」



「え?俺?」



キョトンとした表情の玉森くんに、怒り心頭の横尾さん。



横尾さんと玉森くんをみていると、外国のアニメの、猫とネズミの追いかけっこを思い出す。



猫はもちろん横尾さんで、猫をからかうあのネズミが玉森くん。




「吉岡さんの前でやめてください。玉森くんも。いい大人が恥ずかしい」




「「あ?!」」




そして、貧乏クジを引いてしまうのは、結局私なんだ。




玉森くんと横尾さんに睨まれながら、私はオーガニックのサラダを無言でひたすら食べ続けた。

第三話『鬼上司と子犬のワルツ』→←第三話『鬼上司と子犬のワルツ』



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (632 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
925人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

マキ(プロフ) - かのんさん» うわーん( ;∀;)嬉しいです!ありふれたありきたりな話しか書けませんが、好きだと言ってもらえてすごーーく嬉しいです(*^^*) (2021年4月17日 13時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - もう、本当に本当に大好きです!マキさんの作品、本当に大好きです!! (2021年4月16日 19時) (レス) id: 46e739e0e0 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - eiennianatadakeさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)私の書いたもので少しでも心が温まってくださったのなら、こんなに嬉しいことはありません(*^^*) (2021年4月15日 16時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
eiennianatadake(プロフ) - とても心が温かくなるようなお話でした!展開にハラハラしたり泣けちゃったり次回のお話も楽しみにしています! (2021年3月4日 3時) (レス) id: 69ceef1236 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - umiさん» このお話を好きになっていただけて嬉しいです!玉森くんのドラマが始まる前に書き終えたんですが、もうドラマも終盤ですね!時間が経つのが早くてびっくりしてます笑! (2021年3月3日 0時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2020年12月24日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。