第六話『好きになってはいけない人』 ページ26
足下に、微かな重みを感じて目を覚ます。
「え?!」
上半身だけをベッドに預けて、玉森くんがぐっすりと眠っていた。
・・・・昨日、どうしたんだっけ。
玉森くんが家まで送ってくれて、スープを作ってくれて、それから後片付けするって言ってくれて・・・・
そこから先の記憶がない。
玉森くんがお皿を洗ってくれている最中に、きっと私は眠っちゃったんだ。
恐る恐る、玉森くんの肩を揺する。
「・・玉森くん。玉森くん、起きて?」
「・・・ん?」
玉森くんは一瞬顔をしかめた後、本当にゆっくりした動きで顔を上げた。
目を開いて、私の存在に気づいた玉森くんは、ふんわりと笑う。
「おはよ」
「・・・おはよう。あの、玉森くん・・おうちに帰らなかったの?」
「ん?あれ?ここ、俺んちじゃないの?」
「寝ぼけてる?」
「そうなのかな。寝ぼけてんのかな」
そう言いながら、玉森くんはもう一度ベッドに身体を預ける。
・・・そっか。
寝起きの、あの天使みたいに可愛いらしい笑顔は、吉岡さんに向けられたものなんだ。
私のこと、きっと、吉岡さんと勘違いしてる。
朝起きて、吉岡さんに、あんなふうに笑いかけるんだ。
あんなに優しい声で、おはようって言うんだ。
玉森くん。
私、あんまり知りたくなかったよ。
玉森くんが、朝いちばんに恋人に見せる笑顔を知ることがこんなに辛いなんて、私は思いもしなかった。
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マキ(プロフ) - かのんさん» うわーん( ;∀;)嬉しいです!ありふれたありきたりな話しか書けませんが、好きだと言ってもらえてすごーーく嬉しいです(*^^*) (2021年4月17日 13時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - もう、本当に本当に大好きです!マキさんの作品、本当に大好きです!! (2021年4月16日 19時) (レス) id: 46e739e0e0 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - eiennianatadakeさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)私の書いたもので少しでも心が温まってくださったのなら、こんなに嬉しいことはありません(*^^*) (2021年4月15日 16時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
eiennianatadake(プロフ) - とても心が温かくなるようなお話でした!展開にハラハラしたり泣けちゃったり次回のお話も楽しみにしています! (2021年3月4日 3時) (レス) id: 69ceef1236 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - umiさん» このお話を好きになっていただけて嬉しいです!玉森くんのドラマが始まる前に書き終えたんですが、もうドラマも終盤ですね!時間が経つのが早くてびっくりしてます笑! (2021年3月3日 0時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
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