episode4 『一口ちょうだい』 ページ5
大学の学食でよく見かける彼のことを、意識しはじめたのは半年前。
話しかけるでもなく、話しかけられるでもなく、ただ、ひたすらに見つめ続けた半年間。
「キモいって思われてんじゃない？」
友達が、サラダにドレッシングをかけながらそう言った。
「え？キモい？私が？」
「だってさぁ、半年も謎の視線感じてるわけじゃん？気持ち悪いよ〜」
「見てるの、バレてるかな？」
「逆にバレてないと思ってんの？」
友達の言葉に肩を落とす。
私は彼にとって、ストーカー染みた気持ち悪い女にすぎないんだ。
今日も、彼の周りにはたくさんの友達。
男の子も女の子も、彼を中心にみんな楽しそうに笑っている。
「そういえばさぁ、何で好きなわけ？話したこともないくせに」
「・・・教えない」
「別に知らなくていいし」
ご飯を美味しそうに食べる姿がいいと思った。
学食の激安定食を、「うまっっ」って幸せそうにほおばる彼を見て、私まで幸福な気持ちになったことを、今も覚えている。
「あ、午後からバイトいれてるんだった！悪いけど帰るね！」
バタバタと食器を片付けて、友達は慌ただしく帰っていく。
私の手元のサンドイッチは、全然減っていなかった。
「食べないの？」
突然降ってきた声に、驚いて顔を上げる。
「あ・・・」
目の前にいたのは、いつもは遠くにいるはずの彼だった。
「それ、新作だよね。春限定の」
「・・・うん」
「一口ちょうだい？」
「え？・・食べかけだか・・・
何の躊躇もなく、パクって私のサンドイッチにかぶりつく彼。
呆然とする私見て、楽しそうに笑った。
「いつも見てるよね」
「え？」
「見てんでしょ？俺のこと」
「わ・・私は別に、ストーカーでもなんでもなくて・・その・・・・あの・・・・見てます」
観念して、目をつむる。
彼の反応が怖くて、目を開けられなかった。
「好きなの？」
「え？」
「俺のこと」
「ちが・・・
「違うんだ」
「・・・違わない・・です」
「どこが好きなの？」
「食べてるとこ！」
「即答だな」
顔をクシャってして、彼が笑う。
笑ってる顔も、好きだと思った。
「あんたもいいと思うよ？」
「え？」
「食べてるとこ」
照れ隠しをするように、彼は残りのサンドイッチにかぶりつく。
食べてる顔は、やっぱり幸せそうだった。(END)
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マキ(プロフ) - さっこさん» 連投すごーく嬉しいですよ(*^^*)更新したお話に反応もらえると、読んでくださる人がどう思われているのかがわかって励みになるんです＼(^^)／自分で書いているから、それが面白いかどうなのかは自分ではわからないので！いつもありがとうございます！そして移行します笑 (2020年10月30日 2時) (
レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
さっこ(プロフ) - 連投になってしまうから控えようと思うのに、我慢できません…！1話更新されたら、また初めから読み返しちゃって…そしてまた泣くっていう無限ループに陥っています…情緒が不安定です(笑)辛い…けど続きが読みたい…(笑)マキさんの書くお話は期待しかありません！ (2020年10月30日 1時) (レス) id: 522c851c21 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - さっこさん» 新しい北山くんのお話も読んで下さって嬉しいです！タイトルは色んな含みをもたせてこれに決めました。熱血で愛情深い北山くんの姿を少しでも描ければと思っております(*^^*) (2020年10月29日 19時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
さっこ(プロフ) - 2話分で号泣する私がいます(笑)海ちゃん、ちゃんといい子に育ってるのはお姉ちゃんを見てるからだよー（ ; ; ）と主人公に伝えたいです！つい、お節介おばさんになってしまう…(笑)何があっても私は北山くんを信じています、タイトルに救いの希望を持ってます…！ (2020年10月29日 0時) (レス) id: 522c851c21 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ナナさん» 暖かいお言葉、ありがとうございます(*^^*)好きだと言ってくださる方だけに、読んでもらえたらなぁと思っています(^^) (2020年10月26日 21時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
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