38 (北山先生) ページ38
「ちょっとみっくん!」
Aの家から出た瞬間、恭子ちゃんに捕まった。
裸足のまま追いかけてきた恭子ちゃんに、思わず笑ってしまう。
「・・逃げないから、靴はいてきなよ」
「絶対そこにいてね?!」
俺に釘を刺して、恭子ちゃんが再び玄関のドアを開ける。
似た者親子。
Aも恭子ちゃんも、いつもどこか抜けている。
「みっくん、ごめん」
「いいよ。慣れてっから」
「え?」
「Aもすっとぼけてるからさぁ、そういう種類の人たちに、俺は超寛容だから」
俺の言葉に、恭子ちゃんは微笑む。
「みっくん」
「ん〜?」
「みっくんの声が大きいから、話、全部聞こえちゃった」
「嘘ばっか。聞き耳立ててたくせに」
「あ・・バレてる」
「プライバシーの侵害だよ?恭子ちゃん」
恭子ちゃんはバツの悪そうな顔をして、首をすくめた。
「いいよ」
「え?」
「取り調べ、開始しても」
「取り調べなんて、嫌な言い方しないでよ」
「じゃあしないの?取り調べ」
「する」
観念していた。
恭子ちゃんには、昔から隠し事が通用しないから。
「好き・・なんて、Aが言うからさぁ・・。何言ってんだこいつ、訳わかんねーってムカついてたら、あっさり気づいちゃったんだよね。・・・おんなじなんだって」
「おんなじ?」
「Aと俺の"好き"は、きっとおんなじなんだって」
「・・・そっか」
「許せねーんだ」
「え?」
「・・14だぜ?14歳も離れてるのに、どうかしてる」
「世の中にはたくさんいるじゃない。年がたくさん離れてるカップルなんて、いくらでも」
「生まれたその日から知ってんだよ?Aを、初めて見た日に思ったんだ。この世界に、こんなに綺麗なものなんかあんのかなって。あんなに透き通って純粋なもの、俺はAしか知らないんだ」
「大袈裟過ぎない?」
「大袈裟なんかじゃないよ」
だってあの時、俺は思ったから。
この子を・・・うまく説明できないけど、とにかく汚いものから守りたいって。
だから俺も触れない。
触れてしまったら、Aを汚しちゃいそうで、怖いから。
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マキ(プロフ) - 青黄赤緑紫LOVEさん» 大切な想い出を共有させていたただき、ありがとうございます。かき氷のシロップの全部がけ、北山くんと横尾くんの対比を明確にしたくて描いたシーンでした。私の思いついたシーンが誰かの想い出をくすぐることがあるなんて、なんだかジーンとしてしまいました(;-;) (2021年12月19日 17時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちはるさん» お返事が随分遅くなってしまいさました。すみません!横尾担からの北山担のちはるさんの為に作ったようなお話ですね笑!私も二人とも大好きです(*^^*) (2021年12月19日 17時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかみつばさん» コメントに気づかず、長い時間が経ってしまっていました。すみません!『透き通る』という題名なので、登場人物たちの気持ちをキレイだと言っていただけて嬉しかったです(*^^*) (2021年12月19日 17時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
青黄赤緑紫LOVE(プロフ) - 氷・レモン・氷、メロン・氷・ブルーハワイ、氷・最後にイチゴ・練乳でした。 最初はイチゴ練乳だから美味しかったのを覚えています。ブルーハワイの途中から味が混ざり独特な味がし、二人して吹き出した事を懐かしく思います。思い出させてくれて有難う御座います。 (2021年12月18日 21時) (レス) id: 3c812bd8e4 (このIDを非表示/違反報告)
青黄赤緑紫LOVE(プロフ) - 先日は、パスワード有難う御座います。 家事の合間に拝読させていただきました。かき氷のシロップ全部かけ…故主人と最期の夏祭りのかき氷、シロップ全部かけした事を思い出しました。私が買ったかき氷屋さんのは、氷とシロップを重ねて層にするもので下から (2021年12月18日 21時) (レス) id: 3c812bd8e4 (このIDを非表示/違反報告)
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