31 (北山先生) ページ31
「今まで部活だったんですか?」
職員玄関で、帰ろうとしている水城と鉢合わせた。
「うん。水城もお疲れさん。また明日な」
「・・北山先生」
「ん?」
「今日、少し話せませんか?」
「・・・また、澤木のこと?」
「違います」
「?・・じゃあ何?」
「・・・私のことです」
「え?」
・
・
「本当にこんなとこでいいのかよ」
水城が俺を連れてきたのは、学校の近くにある公園だった。
俺と水城の手には、目の前のコンビニで買った缶ビールが握られている。
「・・・いいんです。人がいるところじゃ話しにくいし」
「はぁ?人に聞かれたくない話ってなんだよ。怖えーなぁ」
わざとらしく仰け反ってみても、水城は全然笑わない。
やば。何か深刻なやつ?冗談とかいらないやつ?
「水・・
「好きなんです」
「え?」
「私、北山先輩のことが好きなんです」
30過ぎたおっさんが、何も言えずに固まるの巻。
告白されたくらいで、
涙目で見つめられたくらいで、
・・・何て情けないんだろう。
気の効いた言葉一つ、見つからない。
男なんて、いくつになっても大して心は変わらないんだ。
突然告白された時のリアクション、高校の頃と全然変わってねーじゃん。
「・・先輩?」
何も話さない俺を、水城が不安そうに覗き込む。
しっかり者の"水城先生"はそこにはいなくて、目の前にいるのは、ひどく緊張しながら俺の返事を待っている、可愛らしい、一人の女性だ。
「・・わかんねー」
「え?」
「どうしていいか、わかんねー」
「・・わかんないって、何ですか?」
なんつーバカっぽい返事。
水城は困惑して、可哀想に・・今にも泣き出してしまいそうだ。
だけど、俺にはわからないんだ。
自分の気持ちが、俺には全然わからない。
「・・水城」
「・・・はい」
「・・・・好きって、何だっけ?」
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マキ(プロフ) - 青黄赤緑紫LOVEさん» 大切な想い出を共有させていたただき、ありがとうございます。かき氷のシロップの全部がけ、北山くんと横尾くんの対比を明確にしたくて描いたシーンでした。私の思いついたシーンが誰かの想い出をくすぐることがあるなんて、なんだかジーンとしてしまいました(;-;) (2021年12月19日 17時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちはるさん» お返事が随分遅くなってしまいさました。すみません!横尾担からの北山担のちはるさんの為に作ったようなお話ですね笑!私も二人とも大好きです(*^^*) (2021年12月19日 17時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかみつばさん» コメントに気づかず、長い時間が経ってしまっていました。すみません!『透き通る』という題名なので、登場人物たちの気持ちをキレイだと言っていただけて嬉しかったです(*^^*) (2021年12月19日 17時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
青黄赤緑紫LOVE(プロフ) - 氷・レモン・氷、メロン・氷・ブルーハワイ、氷・最後にイチゴ・練乳でした。 最初はイチゴ練乳だから美味しかったのを覚えています。ブルーハワイの途中から味が混ざり独特な味がし、二人して吹き出した事を懐かしく思います。思い出させてくれて有難う御座います。 (2021年12月18日 21時) (レス) id: 3c812bd8e4 (このIDを非表示/違反報告)
青黄赤緑紫LOVE(プロフ) - 先日は、パスワード有難う御座います。 家事の合間に拝読させていただきました。かき氷のシロップ全部かけ…故主人と最期の夏祭りのかき氷、シロップ全部かけした事を思い出しました。私が買ったかき氷屋さんのは、氷とシロップを重ねて層にするもので下から (2021年12月18日 21時) (レス) id: 3c812bd8e4 (このIDを非表示/違反報告)
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