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28 (横尾くん) ページ28

横断歩道の前で信号待ちをしていると、少し遠くから、騒がしい声が聞こえてきた。



「横尾だーーー!!!横尾がいるぞーー!!」




凄いスピードで近づいてきた自転車は、俺の少し手前で止まった。




「危ないんですけど」




自転車に乗っていたのは北山で、その後ろから、澤木が少しだけ顔をのぞかせている。





「散髪の帰りか?」





「あんたが切れって言ったんでしょ?」





「いいじゃん!爽やかじゃん!」





「・・二人乗りは禁止なんじゃないですか?」





二人に向かって嫌味たらしくそう言うと、澤木はバツが悪そうに首をすくめた。




「禁止だよ。絶対やるなよ?二人乗りは」





北山が全然悪びれることなくそう言うから、俺は戦意を喪失してしまう。





「A、自転車降りろ」




「うん」




澤木を降ろして、北山は自転車を方向転換させる。




「横尾、Aを家まで送ってくれ」




「何で俺が・・」




「みっくんは?」




「学校に戻んなきゃ。今日中にやらなきゃいけない仕事思い出した」




「じゃあな」って、北山は自転車に乗って行ってしまった。




俺と澤木は、二人で顔を見合わせて、それからどちらともなく歩きだす。




「・・髪、切ったんだね」




「うん」




「似合ってる」




「そりゃどーも」





あんまり会話は続かないけど、澤木との時間は心地よかった。




「・・あ、私こっちだから。横尾くんちは逆だよね?」





「家まで送る」





「いいよいいよ!みっくんの言ったことは気にしないで?」





「送る」





北山に頼まれたからじゃない。






俺は、好きな子のことをいじめてしまうけど、素直になれなくて冷たくしてしまうけど、だけど、好きな子のことは大事にしたいタイプなんだ。




「・・・横尾くん、ちょっと待って?」





だけどそんなことは言えなくて、気恥ずかしさで早足になってしまう。





振り返った先には、急いで俺を追いかけるてくる澤木の姿。





「澤木」




呟いた言葉は、澤木には届かずに薄い暗闇に吸い込まれる。





「澤木、好きだよ」

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マキ(プロフ) - 青黄赤緑紫LOVEさん» 大切な想い出を共有させていたただき、ありがとうございます。かき氷のシロップの全部がけ、北山くんと横尾くんの対比を明確にしたくて描いたシーンでした。私の思いついたシーンが誰かの想い出をくすぐることがあるなんて、なんだかジーンとしてしまいました(;-;) (2021年12月19日 17時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちはるさん» お返事が随分遅くなってしまいさました。すみません!横尾担からの北山担のちはるさんの為に作ったようなお話ですね笑!私も二人とも大好きです(*^^*) (2021年12月19日 17時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかみつばさん» コメントに気づかず、長い時間が経ってしまっていました。すみません!『透き通る』という題名なので、登場人物たちの気持ちをキレイだと言っていただけて嬉しかったです(*^^*) (2021年12月19日 17時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
青黄赤緑紫LOVE(プロフ) - 氷・レモン・氷、メロン・氷・ブルーハワイ、氷・最後にイチゴ・練乳でした。 最初はイチゴ練乳だから美味しかったのを覚えています。ブルーハワイの途中から味が混ざり独特な味がし、二人して吹き出した事を懐かしく思います。思い出させてくれて有難う御座います。 (2021年12月18日 21時) (レス) id: 3c812bd8e4 (このIDを非表示/違反報告)
青黄赤緑紫LOVE(プロフ) - 先日は、パスワード有難う御座います。 家事の合間に拝読させていただきました。かき氷のシロップ全部かけ…故主人と最期の夏祭りのかき氷、シロップ全部かけした事を思い出しました。私が買ったかき氷屋さんのは、氷とシロップを重ねて層にするもので下から (2021年12月18日 21時) (レス) id: 3c812bd8e4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月22日 1時

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