8 (玉森くん) ページ8
「玉森、まだ帰んないの?」
「もう少しやってから帰ります」
「珍しいな」
「え?」
「最近、帰るの早かったから」
「そうですか?」
「彼女できた?」
「できてないです」
「ふーん。じゃあ犬でも飼い始めた?」
「犬?」
「田中さんとかさ、早く帰ってんじゃん。飼ってる犬が可愛くて仕方ないみたいだよ?」
「犬かぁ。でも、犬じゃないです。飼ってるわけじゃないし。強いて言えば・・・保護・・・したのかな?」
「保護?捨て猫でも拾ったのか?」
「猫じゃなくて・・・猫じゃなくて・・カルガモ!」
「え?」
「カルガモの親子」
先輩は、俺との噛み合わない会話に嫌気がさしたらしく、「変なヤツ」って呟いて帰っていった。
だって、人間を保護してるとは言えないじゃん。
そんなこと言ったら、今以上にヤバイヤツ認定されちゃうもん。
俺が保護したカルガモちゃんのお腹の中には、見た目にはわからないけれど、確実に新しい命が息づいている。
俺には全然関係ないんだけど、単純に、命は大事だと思ったんだ。
「カルガモの親子が横断歩道渡る動画見て帰ろう」
倉谷さんは、まだ起きているだろうか。それとも、眠ってしまったかな。
起きていて欲しいのか、眠っていて欲しいのか、自分でもわからなくて、そんなこと考える自分に俺自身がいちばん驚いていた。
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マキ(プロフ) - たまりんさん» うわぁ!随分前に書いたお話でしたが、読んでいただけて嬉しい(*^^*)しかも苦手なジャンルなのに、このお話がたまりんさんの大好きなお話になれたのなら、当時頑張って書いたことが報われます! (2020年6月4日 19時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - 一番大好き (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - 読んでみたら (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - でも、 (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - こんにちは。マキさんが書く玉ちゃんが大好きです!でも、正直こういう複雑な身の上の女性とのお話は苦手で、今まで避けてきました。マキさんにパスワードをおしえていただき、一気に他の作品は読んだけど、やっぱりこちらのお話は最後に残ってしまいました。 (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
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