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38 (玉森くん) ページ38

朝起きると、すでに朝食の準備がしてあった。




「おはよ」





「おはようございます」





「大丈夫なの?熱は?」





「もう平気です。ご迷惑おかけしました」





少し腫れぼったい倉谷さんの瞼を見て、彼女の涙を思い出す。




昨日、どうして倉谷さんが泣いたのか、俺には全然わからなかった。




「豪華だね。朝ごはん」





「だって早く使わなきゃいけないから。玉森さんが買ってきた食材」





「ご迷惑おかけします」






俺が買ってきた物は、ことごとく倉谷さんにダメ出しされた。




買ってきた物の中に、よっぽど嫌いなものが紛れ込んでいたんだろうか。





「倉谷さん」




「はい」




「嫌いなものがあった?昨日、俺が買った物の中に」




「え?」





「だから泣いたの?」







倉谷さんは俺を見つめたまま、しばらく口を開かなかった。







「・・・好きなものばっかりだったから」






「え?」






「だから、泣いたんです」






どういう意味?って聞きたかったけど、なぜか聞き返すことが出来なかった。






「ご飯、早く食べてください。遅刻しますよ?」






「うん」






子どもの頃、母親が風邪で寝込んだりするとすごく悲しかった。




倉谷さんが体調を崩した時、唐突にその時の気持ちが甦ったんだ。





そんなこと、倉谷さんに伝えたら、『私がお母さんみたいだってことですか?』って怒るかな。






元気になって嬉しいって、ただ、それだけのこと、どうして素直に言えないんだろう。

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マキ(プロフ) - たまりんさん» うわぁ!随分前に書いたお話でしたが、読んでいただけて嬉しい(*^^*)しかも苦手なジャンルなのに、このお話がたまりんさんの大好きなお話になれたのなら、当時頑張って書いたことが報われます! (2020年6月4日 19時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - 一番大好き (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - 読んでみたら (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - でも、 (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - こんにちは。マキさんが書く玉ちゃんが大好きです!でも、正直こういう複雑な身の上の女性とのお話は苦手で、今まで避けてきました。マキさんにパスワードをおしえていただき、一気に他の作品は読んだけど、やっぱりこちらのお話は最後に残ってしまいました。 (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年2月21日 1時

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