検索窓
今日:15 hit、昨日:13 hit、合計:452,733 hit

36 (宮田くん) ページ36

「香山さんだってわかってるでしょ?」




「・・・何を?」





「今、玉が誰を想ってんのか」






「そんなのわかんない」





「あんなに誰かと関わろうとするなんて、何ていうか・・・惹かれるものがあったんだろうね」





「それ、私の前で言う?」





「あ、ごめん!」






香山さんはハンカチで豪快に涙を拭く。






「ねぇ、私の方が顔は勝ってるでしょ?」





「10ー0で香山さんだね」





「でしょ?!絶対、私の方が頭もいいし、倉谷さんより、もっと完璧に家事もできる!」





「知性派で家庭的!素晴らしい!」





「なのにどうして?!何がダメなの?」





「そのどれも全部、玉には必要なかったんだろうね」





「はぁ?!」





「あ!ごめん!つい・・本音が」





「宮田くん、いつか刺されるわよ!」






こら!俺の正直者!




香山さんキレてるゾっっ。





「・・・でも、どうするつもりなのかな?倉谷さんは彼氏いるんでしょ?その人を待ってるんでしょ?」




「どうすんのかなぁ。どうもしないんじゃない?」




「何それ」





「だって、困らせるだけじゃん。バイバーイって見送ってあげないと」





「え?」




「好きなら、好きな人を、困らせたりしたくないでしょ?」





「遠回しに、玉森くんを困らせるなって私に言ってる?」





「そんなことはないよ。それは香山さんの自由だもん」






香山さんはしばらく考えた後、俺の頼んだ唐揚げやフライドポテトを、黙々と食べ始めた。




「香山さん、揚げ物嫌いじゃなかったの?」




「大好きよ!」




「え〜?いつも全然食べないじゃん」





「玉森くんに見られたくなかったの!揚げ物食べてる私」




「はぁ?何だよそれ。馬鹿馬鹿し〜」




「もういい!目の前で揚げ物食べれない人と付き合っても、そこに未来はないもん!」





「・・・香山さん」





泣きながら揚げ物を頬張る彼女は、なかなかチャーミングだった。




「この前玉の部屋にいったらさぁ、ジャムの空きビンに雑草が活けてあったよ」





「何それ。貧乏臭い!」





「あはは!香山さんに雑草は似合わないよ」





「当たり前でしょ?!」






香山さんって、いいやつだったんだなぁ。






出会ってから、今日までの中で、今の香山さんが一番好きだ。

37→←35 (宮田くん)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (755 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1130人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

マキ(プロフ) - たまりんさん» うわぁ!随分前に書いたお話でしたが、読んでいただけて嬉しい(*^^*)しかも苦手なジャンルなのに、このお話がたまりんさんの大好きなお話になれたのなら、当時頑張って書いたことが報われます! (2020年6月4日 19時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - 一番大好き (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - 読んでみたら (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - でも、 (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - こんにちは。マキさんが書く玉ちゃんが大好きです!でも、正直こういう複雑な身の上の女性とのお話は苦手で、今まで避けてきました。マキさんにパスワードをおしえていただき、一気に他の作品は読んだけど、やっぱりこちらのお話は最後に残ってしまいました。 (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年2月21日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。