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30 (玉森くん) ページ30

「倉谷さん」



「はい」



「ここ、座って?」




夕食の後片付けを終えた倉谷さんを、俺の隣に座らせる。




「何ですか?」




「病院とか、ちゃんと行ってるの?産婦人科」




「はい。近くに見つけたから」




「ふーん。順調?」




「今のところ。少しだけ、お腹も出てきました」





倉谷さんはそう言って、両手をお腹に当てる。





「そっか」





一人で納得する俺を、倉谷さんは不思議そうに見上げる。




「何で今更って思ってる?」




「・・少しだけ」




「本当は、ずっと気になってたんだけど、あえて聞かなかった」





「どうして?」





「倉谷さんだって聞かないでしょ?何処に行くの?とか、何してたの?とか」




「・・それは・・





「赤の他人だもんね、俺たち」





「・・・はい」





「でも、もう違うんだよ」





「え?」




「もう、俺たちは赤の他人なんかじゃないんだ。だってこうやって、二人で暮らしているんだから」






君がいなくなるのは、もしかしたら明日かもしれない。





だけど、もうそんなの関係ないんだ。






心配したり、気遣ったり、時にはケンカをしたり。






二人でいるんだから、そんなの当たり前のことだ。





だから、君が俺の前からいなくなる日まで、ちゃんと二人暮らしをしよう。





「・・・何て言っていいかわからないんですけど、嬉しいです。すごく」





目尻に涙を溜めた倉谷さんが、遠慮がちに微笑む。





彼女がジャムのビンに挿したタンポポとナズナが、少しだけ揺れたような気がした。

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マキ(プロフ) - たまりんさん» うわぁ!随分前に書いたお話でしたが、読んでいただけて嬉しい(*^^*)しかも苦手なジャンルなのに、このお話がたまりんさんの大好きなお話になれたのなら、当時頑張って書いたことが報われます! (2020年6月4日 19時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - 一番大好き (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - 読んでみたら (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - でも、 (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - こんにちは。マキさんが書く玉ちゃんが大好きです!でも、正直こういう複雑な身の上の女性とのお話は苦手で、今まで避けてきました。マキさんにパスワードをおしえていただき、一気に他の作品は読んだけど、やっぱりこちらのお話は最後に残ってしまいました。 (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年2月21日 1時

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