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14 (宮田くん) ページ14

「あの・・宮田さん」




会社を出てすぐのところで、俺を呼ぶ声に足を止める。




「え?!倉谷さん!?」





「はい、倉谷です。昨日は、驚かせてすみませんでした」





「いや、驚かせたのはこっちだし。急に押し掛けたりして」





「・・あの、少し話せますか?昨日、ちゃんと説明できなかったから」





「それでわざわざ?」





「私が言うのも変なんですけど、よくわかるから。玉森さんを、宮田さんと香山さんが心配してる気持ち」






この人が、玉森を騙すはずがないと思った。





この人だって、玉森のことを心配してる。






「そこのカフェでいい?」




「・・はい。あの、香山さんも一緒に・・





「香山さんには、俺から話すよ。倉谷さんから直接聞くと、ヒートアップしちゃうから」





「・・そうですか」





倉谷さんが申し訳なさそうにうつ向く。




香山さんの玉森への想いは、昨日初めて会った倉谷さんにも、伝わっているようだ。









.







「珈琲でいい?」



「・・・珈琲は、飲めなくて。あの、オレンジジュース、お願いします」



注文を取った店員さんがいなくなると、倉谷さんは、本題を切り出した。




「・・あの、玉森さんとのことなんですけど」




「うん」



「結論から言うと、彼女でもないし、友達でもありません。だけど、玉森さんを騙そうとか、そういうのじゃないんです」




「わかってる」



「え?」



「人を見る目、玉はけっこうあるんじゃないかな?俺は、倉谷さんを疑ったりしてないよ?」




「・・・ありがとうございます。でも、私が厄介者なのは事実で・・。私、恋人に捨てられたんです」



「え?!」



「その恋人との子どもを妊娠してます」




「ええ?!」




「親には勘当されて、頼れる人は一人もいません」




「えええ?!」



次から次に出される爆弾に、俺は目眩がしそうだった。



「助けてくれたんです」




「倉谷さん?」




「玉森さんは、何処にも帰る場所がない私に、居場所を作ってくれたんです」




「そうだったんだね」




「だから、感謝の気持ちしかなくて、私が玉森さんを騙すなんて、そんなこと絶対ありません。私はすごく怪しい女ですけど、信じてもらえませんか?」




赤の他人の俺に、プライベート過ぎる話をすることは、どんなに辛かっただろう。



昨日、『言わなくていい』と、玉森が強い口調でそう言った意味を、彼女の震える手が物語っていた。

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マキ(プロフ) - たまりんさん» うわぁ!随分前に書いたお話でしたが、読んでいただけて嬉しい(*^^*)しかも苦手なジャンルなのに、このお話がたまりんさんの大好きなお話になれたのなら、当時頑張って書いたことが報われます! (2020年6月4日 19時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - 一番大好き (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - 読んでみたら (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - でも、 (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - こんにちは。マキさんが書く玉ちゃんが大好きです!でも、正直こういう複雑な身の上の女性とのお話は苦手で、今まで避けてきました。マキさんにパスワードをおしえていただき、一気に他の作品は読んだけど、やっぱりこちらのお話は最後に残ってしまいました。 (2020年6月3日 11時) (レス) id: afad14c6fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年2月21日 1時

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