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40 (二階堂くん) ページ40

広めのダイニングテーブルで食べるカップラーメンは、ものすごく味気なかった。




食べる気がしなくて、半分以上流し台に捨てた。





「暗ーー!!何?この寂しい図」





勝手に家の中に入ってきた千賀が、大袈裟な声をあげる。





「勝手に入ってくんなよ」






「お前だって勝手に病院入ってくんだろ」





「うるせーなぁ」





千賀は椅子を引いて俺の真正面に座った。






「聞こえた?」





「何が?」





「Aちゃんの声」





「え?」




「リハビリ、すっっっごい頑張ったんだよ?最後の2週間、全然家にいなかったでしょ?」









聞き取れるか聞き取れないかくらいの、小さな小さな声だった。




やっと絞り出したような掠れた声は、だけど俺には真っ直ぐに届いたんだ。









「ニカにどうしても言いたかったんだって。ありがとうって、自分の声で」










抱きしめたかった。





帰したくなかった。





俺のものにしたかった。






弱音を吐きたかった。





泣きたかった。





叫びたかった。








だけど・・・しなかった。






俺は、何一つとしてできなかったんだ。








「ニカにとって、Aちゃんって何だったんだろうね?」







「・・・・プレゼント」





「え?」






「・・・だって、大切にしたいと思ったもん。大事にしたかった。すごく」






ある日、突然現れた、思いもよらないプレゼントは、こんなにもたくさんの感情を俺に与えて、跡形もなく消えていった。






だけど、やっぱり残ってるんだ。





君のいた時間は、暖かい記憶として、俺の中に残り続ける。





「あ!ニカに渡したいものがあったんだ!」




わざとらしくそう言って、千賀が玄関を出ていく。



5分後に現れた千賀の腕の中には、一匹の豆柴。




「え?何?この犬」





「可愛いでしょ?捨てられてたんだ。ニカ、飼ってあげてよ」





「は?!」




捨てられていたにしては、やけに綺麗な仔犬。





「千・・




「あっ、やっばーい。帰んなきゃ。俺、今日は忙しいんだ」




めちゃくちゃわざとらしくそう言って、千賀はあっという間にいなくなった。




取り残された豆柴と俺。




机の上には、ご丁寧にエサやゲージが置かれている。




「なんだ?これ」




千賀が忘れていった一枚の紙。





豆柴一匹、40万也。





「高!!!!」






千賀は俺が一人になったことを、とても心配しているみたいだ。

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れいな - 初めましてこんにちは。このお話が大好きで何度か読ませていただいております。そのたびに大号泣しています。こんな素敵な作品に出会わせてくださってありがとうございます。 (2020年7月4日 4時) (レス) id: ac9fdaad24 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - naoさん» はじめまして。コメントの通知が来ておらず、お返事が遅くなってすみません(>_<)naoさんは二階堂くんがお好きなんですね!私の書いたもので、少しでも楽しんでいただけたのなら嬉しいです(*^-^*)書いててよかったです。コメント、ありがとうございます(^-^) (2019年8月26日 13時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 初めまして。二階堂高嗣で検索して、このス素敵な物語に出会いました。もう最初から最後まで、胸がギューっとなりながら一気に読み終えました。今まで読んだ作品の中で、1番好きです。本当に感動しました!大好きな二階堂くんがしあわせになってくれて嬉しいです! (2019年8月7日 3時) (レス) id: 98957e13af (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - くまのこさん» 意味がわからないくらい...なんて、そんなに泣いてくださって感激です(;∀;)お気に入り作者に登録していただいて、重ね重ねありがとうございます★ (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかあゆさん» 泣いてくださったんですね!うわぁぁ、ありがとうございます(;∀;)そして、全作品読んでくださったなんて嬉しいです! (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年3月8日 15時

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