18 (北山くん) ページ18
「・・・じゃあ、Aは何にも覚えてないんですか?」
「はい」
「私たち、親のことも?」
「おそらく」
「・・そんな・・」
Aのお母さんが泣き崩れるのを、お父さんが抱き止める。
「ここに連れ帰ってもいいんでしょ?」
「・・もちろん、それは可能です」
「・・じゃあ・・・
「だけど、怖がるかもしれません。今のAにとって、俺たち全員、全く知らない人ですから」
「・・・どうしたらいいんでしょうか・・」
「幸い、Aと一緒に暮らしている方たちは、とても良い人たちみたいで、Aを病院にも通わせてくれています。二階堂さんとおっしゃるんですが、一度、僕が挨拶に行きたいと思います」
話を聞き終わったAの両親は、とても疲れた表情をしていた。
「北山さん、何から何まですみません。頼りきってしまって・・」
「Aは、俺の大切な人ですから」
誰にも頼りたくない。
俺一人の力でAを救いたい。
だけどそうするには、俺はあまりにも無力だ。
「絶対大丈夫です。Aは、ちゃんとここに戻ってきますから。僕が、必ず全てを元通りにします」
本当は、自分に言い聞かせていた。
そうしないと、俺も崩れ落ちてしまいそうだったから。
「Aは帰ってきます。必ず」
もう一度呟いた言葉は、虚しく宙に消えた。
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れいな - 初めましてこんにちは。このお話が大好きで何度か読ませていただいております。そのたびに大号泣しています。こんな素敵な作品に出会わせてくださってありがとうございます。 (2020年7月4日 4時) (レス) id: ac9fdaad24 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - naoさん» はじめまして。コメントの通知が来ておらず、お返事が遅くなってすみません(>_<)naoさんは二階堂くんがお好きなんですね!私の書いたもので、少しでも楽しんでいただけたのなら嬉しいです(*^-^*)書いててよかったです。コメント、ありがとうございます(^-^) (2019年8月26日 13時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 初めまして。二階堂高嗣で検索して、このス素敵な物語に出会いました。もう最初から最後まで、胸がギューっとなりながら一気に読み終えました。今まで読んだ作品の中で、1番好きです。本当に感動しました!大好きな二階堂くんがしあわせになってくれて嬉しいです! (2019年8月7日 3時) (レス) id: 98957e13af (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - くまのこさん» 意味がわからないくらい...なんて、そんなに泣いてくださって感激です(;∀;)お気に入り作者に登録していただいて、重ね重ねありがとうございます★ (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかあゆさん» 泣いてくださったんですね!うわぁぁ、ありがとうございます(;∀;)そして、全作品読んでくださったなんて嬉しいです! (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
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