【マギ】秀外慧中かくあれかし【幼女戦記】

第二幕 ７歳、空爆に臨む ページ3

皆さま、私は今何処にいるでしょうか。なんと、所変わって高度12000を航空中だ。自分の従者を副官に据え、空爆作戦を決行中。

副官はエレニウム九五式を使用した上で、着弾観測任務に従事している。ついでに自作の大砲の着弾観測もしてもらっており、本当に頭があがらないものだ。

「副官、此方現在高度12000空爆を開始する」

「了解、武運を祈ります」

全くいい部下(？)を持ったものだ。現在の文明レベルから考えて、異様としか言い難い私にまともについて来れるとは本当に。

「焼夷弾10投下、位置修正は？」

「必要ありと、判断する。友軍が進行してくる。西に180です。大佐」

西に180移動し、再度焼夷弾をばら撒く。

「大佐、修正は無用と認ムル。繰り返す、修正は無用と認ムル」

「副官、了解した。中止の際に連絡しろ。武運を祈る」

無線妨害の一切ない、制空権は完全に此方が有する。これほど楽しい戦はない。焼夷弾をばら撒き続ければ功績が勝手にこっちへくる。まあ、戦闘機を作成した苦労を考えればそれも当然というものだろう。

「友軍進行中、大佐は撤退されたし、繰り返す、撤退されたし」

「了解、帰還ののち、再度九五式で向かう」

平たい土地に着陸し、マゴイ識別により、私以外が戦闘機の使用を試みると爆発するようにし、再び九五式で空へと向かった。

「また飛んでる敵がきた！ 弓兵、構え！」

ちっ、低高度単独行軍中に邪魔されるとは不愉快極まりない。だいたい高度5000の相手に地上を這いつくばるしかないものが勝てるものか、魔導障壁もあるものだし。

「撃てえええええええええぇぇぇぇ！」

ああ、弓矢が飛んできた。面倒なものだ、勝てない戦に果敢に挑んでくる事ほど面倒くさいことはないと思う。烏合の衆どもめ。

「友軍に通達す。これより空間干渉式を使用する。巻き込まれたくなくば、少し下がっていろ」

高高度ではないがゆえ、この場合においてのみ、一酸化炭素よりも空間干渉式に適しているものがある。高高度でやったら自爆するであろう戦法。

敵上空で硫黄を撒く。さて、ここで気づいた人もいるだろう。私が使うのは硫化水素中毒だ。

1800ppmもあれば即死だろう。後片付けはまた硫黄と水に戻せばよいだろう。

硫化水素は高濃度になると、逆に臭いがわかりにくくなる。理由が分からないまま仲間が倒れていくのだ、戦闘意欲など無くなるだろう。

「なっ、おい弓兵起……」

未練たらしく生きていた敵上官も死亡。完全勝利といったところか？

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