うらみち ページ37
「これ、どこまで運ぶんですか？」
私の荷物を少し持ち、20代くらいに見えるその男は言った。
「少し先の、真選組屯所までです」
持たせてしまって悪いと思いながらも私は答える。
後で、菓子折りでも持ってお詫びしよう･･･
などと考えている間に、男は薄暗い裏道へ入ろうとしていた。
「ここを通るのですか？」
と問うと、こっちの方が近道なので、と男は愛想のよい笑みを浮かべる。
裏道と言えば少し危ないイメージがあるけれど。
でも、それは少し前に裏道で攘夷浪士共に囲まれたことがあったからだろうし。
ただの、イメージで。
実はなんてことないただの道なのだからそんなに警戒する必要はないと、
自然と感覚を研ぎ澄ませてしまう私に言い聞かせる。
私はそんな微かな警報音をそう解釈し、男に続き足を踏み入れた。
･･･だが。
この辺りに詳しいと言った男に続き少しばかり歩かぬ内に、またもや･･･
･･･囲まれてしまった。
16･･･17人の、刀を持った･･･
攘夷浪士に。
「真選組女中、天羽Aとお見受けする」
またか。
そう思った。
驚きはしなかった。
やっぱり裏道と言うものは、物語の始まりであり危ない物らしい。
ほら、前回もなんだかんだ言いながら結局攫われたじゃん、この状況で。
今回も･･･
同じだろうな。
真選組女中。
その肩書きは、重い。
女中と言う形ではあるが、真選組の一部であり。
そして、女中だからこそ、隊士達と違って･･･
だから、私はこうして2度も攘夷浪士共に囲まれることとなった。
だから、沖田さんは私を辞めさせたがった。
沖田さんの言う通り、真選組の女中であることは危険だ。
でも、やっぱり私は。
真選組の女中でいたいから。
「そう。
私が真選組の女中、天羽A。
何か話でも？」
今回は前回みたいに黙って誘拐されたりしないで、一旦屯所に帰ろう。
だって。
真選組に、迷惑をかけてしまうから。
沖田さんに、心配かけるかも知れないから。
沖田さん
「月が綺麗ですぜィ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 126人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あおいひつじ(プロフ) - 笹の葉さん» こんな駄作をわざわざご覧いただき、本当にありがとうございます！まさか、面白いと言っていただけるなんて！もっと頑張ります故、これからもなにとぞよろしくお願いします！･･･まさか絵についても褒めていただけるなんて･･････涙出てきそう (2019年12月25日 15時) (
レス) id: eda71cecc1 (このIDを非表示/違反報告)
笹の葉 - すごく面白いです。あおいひつじさんも、とても絵が上手いと思います。 (2019年12月25日 12時) (レス) id: c9e6634d50 (このIDを非表示/違反報告)
あおいひつじ(プロフ) - Noirさん» 助言ホントにありがとうございました！半パニック状態だったので助かりました(笑)笑に()付けたら見やすいですね！てことで真似しよう･･･こんな駄作を面白いとか好きとか言って頂けるなんてもう嬉しすぎて今ならスキップで学校行けます！これからも多分更新頑張ります (2019年9月29日 23時) (レス) id: eda71cecc1 (このIDを非表示/違反報告)
Noir(プロフ) - あおいひつじさん» いえいえ！私も最近まで知らなかったんです(笑)この作品面白くて好きです！更新頑張ってください (2019年9月29日 23時) (レス) id: 5fb58605be (このIDを非表示/違反報告)
あおいひつじ(プロフ) - Noirさん» わあ！わざわざありがとうございます！画像申請ですね！勉強不足でした笑いや、誰もこんなの見てねーよ的な感じで黙殺されたらどうしようとか思ってたんですけどね、見てくれてた人がいたんだ、て今涙出てきそうです。ホントにありがとうございました！ (2019年9月29日 22時) (レス) id: eda71cecc1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あおいひつじ | 作成日時：2019年8月28日 21時
