【ut】俺の初恋 (ページ9)

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○ ページ9

通された先は広々としたリビングだった。

Aちゃんの部屋じゃなかったことに、

半分ガッカリして、もう半分でホッとした。

勧められたローソファーに腰掛けると、綺麗な手付きでお茶を入れてくれる。

優雅、そんな言葉がぴったりだった____

_______かと思えば、いそいそとコントローラーを出して来る姿は小動物みたいで。

ほんまに掴みどころあらへん。

「早速だけど」

Aちゃんの、ちょっと照れたような笑いと共に差し出されたコントローラーを受け取る。

テレビ画面は、これから始める対戦型ゲームのオープニングを映していた。

「負ける気せぇへんわ」

そう言うと

「お手柔らかに」

と返って来たのだが、もちろん俺は本気でやった。

結果、そこそこ良い勝負だったものの、

土壇場での運の良さによって俺が完全勝利。

「うわお前ざっっっこ」

ゲラゲラ笑う俺に対して、

「うっさ、運で勝ったくせしてでかい口叩くなや！」

と大人びた表情を一変させ子供みたいに無邪気に笑いながら

流暢な関西弁でツッコミを入れるAちゃん。

「運も実力のうちって言うんですぅーー」

ナチュラルにさらに煽ってしまってから、俺はふと重大なことに気が付いた。

「え、関西弁」

思わず呟くと、

「あっ！！！」

と声を上げAちゃんが❝驚愕❞の表情になる。

顔に文字が書いてあると言う比喩がぴったりで、

誰が見ても一目でその二文字を見抜いてしまうに違いない。

見開かれていた眼の、黒目が細かく左右に揺れている。

かと思えばAちゃんは唐突に俯いて、

「____っはははっ」

笑い始めた。