【ut】俺の初恋 (ページ16)

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○ ページ16

「かっこよかったね！」

ずぶ濡れになった後もしっかりとショーを満喫して、Aはやっぱり楽しそうに笑った。

濡れた薄いブラウス越しに肌色が透けていて、心臓に悪いことこの上ない。

「冷えるやろ、これ着とき」

そう言って、俺の着ていた上着を

「全然寒くないし大丈夫だよ」

と遠慮しようとするAの肩に、半ば強引に羽織らせる。

「…ありがと」

ぽつりと呟き、Aはきゅ、と自分よりふた周りは大きい上着の前を引き寄せた。

「ん゛ん゛っ」

あかん、こっちはもっと心臓に悪いわ

「どうかした？

やっぱり、大先生寒いんじゃない？」

訝しげな顔をして、それから見当違いな心配をするAが、

途方もなく可愛くて。

どうしようもなく好きだった。

「A」

「？上着、返そうか？」

頭の上に『？』を浮かべ、小さく首を傾げては俺を気遣うAに、

『付き合ってください』

そう伝える勇気を、俺は未だ持ち合わせていなかった。

「大丈夫、Aが着とって。

それよりもさ、次ペンギンの餌やり見に行かん？」

「行く！」

はぐらかした俺に、Aは無邪気に答えた。