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○ ページ15
人が多い中一番前の列の❝特等席❞が空いている理由にAがやっと気付けたのは、
空中へ飛び上がったイルカが今にも盛大な水しぶきと共に着水すると言う時だった。
「え、」
楽しそうにショーを見ていたAが、本能的に仰け反るのが見えた。
腰掛けているのは、背もたれのないベンチで。
「っ危な」
体制を崩したAの背中にすんでのところで腕を回す。
その瞬間、そんな俺たちを大量の水が襲った。
「「冷たっ」」
声がぴたりと重なる。
関西弁特有のイントネーションまで完全一致で。
顔を見合わせて、くすくすと静かに笑った。
冷たい水が火照った体の熱を奪う中、
引っ込みの付かなくなった、
またはどさくさに紛れてそのままにしているとも言える、
Aの背中に触れている腕だけが燃えるように熱かった。
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
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作者名：ルウ | 作成日時：2021年8月16日 2時
