【ut】俺の初恋 (ページ1)

今日:16 hit、昨日:1 hit、合計:16,957 hit

プロローグページ1

「お姉さんお姉さん、よかったら僕とお茶せえへん？」

どこか気だるそうな表情の美人に声を掛ける。

数打ちゃ当たる、たとえ断られるだろうと薄々わかっていても。

「私ですか？」

顔を上げた彼女は目をぱちくりと瞬かせ、小さく首を傾げた。

可愛い。

勝手に綺麗系だと思っていたものだから、可愛
らしい反応にドキリとした。

「よろこんで」
彼女ははにかんでちょっと笑った。

え、ほんまにいいん

つい飛び出そうになる疑問を抑え、近くのカフェに行こうと提案した。

「私はA。単純にAって呼んでいただけると」

落ち着いた、それでもはきはきとした声。

今までにないタイプで、少したじろいでしまった。

それでも顔には出さない。

「Aちゃんね。僕は鬱。気軽に大先生って呼んでな」

「よろしくお願いします、大先生」

そう言ってカフェまでの道のり、隣を歩く彼女はふわりと笑った。

艶やかに輝く黒髪は無造作に下ろされていて。

抜けるように白い肌、理知的な光を灯す黒い瞳。

化粧は薄く、口調も、俺の知っているあの鼻にかかった甘えるようなものとは違う。

知らないタイプの、綺麗な人。

それなのに一瞬可愛いと思ってしまったのは何故。

タメでええよ、そう告げると彼女は少し口調を崩す。

カフェで軽食を摂りつつ、2人で取り留めのない話をした。