trick before treat.【MB】 ページ30
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"俺、こんなに幸せでいいのかな?"
あの街を離れる日に北山は呟いた。当たり前だよ。北山を幸せにできていなかったら俺は…
F「ねぇ、幸せ?」
ラヴホテルの一室。意識を手放し寝息をたて始めた恋人を見ながら、溜息を付いた。
俺は本当に君を幸せに出来ているかな
Ki「…ん、……がや」
F「ん、寝言?」
Ki「んん…」
汗ばんでいる額を拭う。起こした方がいいだろうか、身体に触れようとして手が止まってしまった。
駄目だ
君が求めてくれたときしか、触れられない
…
F「北山、…ごめん」
各地を転々とし、ラヴホテルで働きながら夜の世界でひっそりと命を繋ぐ。風の噂で北山の事件も俺の事件も
事故
という結末を迎えたらしいことを知った。経緯は分からない。それでも…だ、
F「まだ君に言えてないよ…」
だからこうして君を抱くことに躊躇ってしまう。そんな俺を見て北山がいつも不安そうに抱かれている姿はもう見ていられなかった。
*
夜更けに目を覚ました北山は、慌てた様子で、窓に駆け寄った。そして、外を見るなりイタズラな顔をする。珍しく目を輝かせて。
Ki「藤ヶ谷!外に出られる!」
いつの間に用意していたのか、事務室に駆け込むと銀色に縁取られた赤とピンクの仮面を取り出してきた。
Ki「うっわ夢みたいだ。1度は行ってみたかったんだよね渋谷のハロウィン!」
あれとこれと、なんて嬉しそうに支度をする北山に呆気に取られているうちに外に連れ出されてしまった。
F「大丈夫かな…?」
Ki「んふふ〜分かんない!」
でも、と北山は言った。
Ki「俺のせいで藤ヶ谷に恋人らしいこと何もさせてあげられてないし」
F「えっ?」
それは俺のせいだよ
Ki「俺ね、…藤ヶ谷に笑って欲しいよ。俺は不幸になってもいいけど藤ヶ谷だけは幸せにしたい。それが生きてる理由」
だから行くよ、って強く引かれた手は
人混みの中でどんなにもみくちゃにされても離されることはなかった。
Ki「藤ヶ谷、楽しい?」
F「うん…」
Ki「……藤ヶ谷?」
F「あのね大事な…話がある、かも」
Ki「……何。急に…」
別れ話じゃないよね?っておどけてみせながら、でもやっぱり不安そうな瞳を見つめて
この世で一番、残酷で
この世で一番、甘い告白をしよう
この手を汚すほどに貴方を愛してしまいました
秋⭐trick before treat.
(お菓子の前にイタズラさせて)
trick nor treat,→←trick and treat !!
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チカ(プロフ) - kkeeさん» ありがとうございます!こちらにも感想をくださり、ドラマNG風も面白いと言って頂けて嬉しいです。自分のペースで…という温かいkkeeさんのお言葉を執筆の励みに頑張りますね(*´ω`*) (2017年3月23日 9時) (レス) id: f2bec80607 (このIDを非表示/違反報告)
kkee(プロフ) - チカさん、完結おめでとうございます。どちらもそれぞれに楽しく面白かったです。こちらはドラマ撮影っぽく書かれたりして新しいなぁと感じました。新作も楽しみにしてます。ご自身のペースでのびのび書いてくださいね。 (2017年3月22日 21時) (レス) id: 0990e7aceb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チカ | 作成日時:2017年3月12日 21時