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もうその場に先程のような熱などはなくて、ただ互いの体温のみが広がっている。
そして彼の言葉を聞いて、彼の魔法が倒れた原因ではないと知って、すると私の脳裏にひとつだけ心当たりが浮かんできた。
前から、元の世界にいる時と比べ体調の悪くなることが多かった。それはもう勘違いで済ませることは到底無理なくらいに、休みの日は丸一日寝込むことだってあった程だ。
そこからずっと推測をして、憶測を重ねて考えて、それはひとつの結論に辿り着いた。
きっと私は異物なのだ。異物だから、癌みたいなものだから、免疫が働いて攻撃をしてなかったものにしようとする。この世界が、私という癌を消そうと働きかけているのではないだろうか。そう、思うのだ。
そうすれば辻褄が合うと思うのだ。でもこの世界から私が消されたとして、そうしたらどうなるのか、死ぬのか、元の世界に戻るのか、そもそも私は元の世界で生きているのか、否か。ああめんどくさい。
めんどくさい。あの子のそばにいたいだけだというのにこんなにも面倒事に巻き込まれて、頭を回して回して砂糖が欲しくなって甘味を食べて、寝ても覚めても疲れは取れない。ストレスの蕁麻疹は治ることを知らない。かゆい、ああかゆい。
そうして思考の波に飲まれて全てを放棄してしまいたかったけど、腕の中で未だ動かない彼を放っておく訳にはいかないし、別にそれでもいいのだけれど可哀想が絶えず邪魔をしてくるし、せめて誤解を解いてやろうと思った。可哀想だと思うから。
彼の両肩をもってぐいと立てる。リドルさんの首が力なくしなるから、恥ずかしいのだけれどおでこで抑えた。それしか方法が見当たらなかった。
「いいですか、リドルさん」
「私が倒れたのはあなたのせいじゃないんですよ」
「なんにも悪くないんです、私が異世界から来たから、それの副作用みたいなもんなんです、信ぴょう性はなくても自分で分かるんです」
だからそんなに悲しそうな可哀想な顔をしないで。
私の"お節介"がまた働いてしまうから。そうなれば未練なしにここを離れられない。
「ほん、とうに？」
「はい本当です」
「じゃあキミは、ボクのことを怒ってない？」
「魔法をかけたことは腹立たしかったですけどね、反省しているんですから、もう少しも憎くありませんよ」
「…そっか」
そっか、そうか、そうゆっくり何度も呟いて咀嚼して味わっている彼は滑稽なんかではなく、新しい世界の常識をひとつ納得して受け入れるみたいだ。
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らぱ(プロフ) - オパールさん» ほんとに刺さってるみたいで良かったです〜！ありがとう！ (11月12日 21時) (
レス) id: c719b83a52 (このIDを非表示/違反報告)
オパール - あああ！性癖にぐっさり！刺さりました！ (11月10日 18時) (レス) @page40 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
らぱ(新)(プロフ) - 青藍さん» ありがとうございます🤤嬉しすぎて溶けそう🤤伝わりましたよ、好きになってくれてありがとう🥳🥳🥳 (2022年5月24日 16時) (レス) id: c719b83a52 (このIDを非表示/違反報告)
青藍(プロフ) - うわぁ、ものすごい作者様を見つけてしまった……どこか大切なところが欠けてるような、ずれてるような、そんな感じで、どこか不気味で不安定な感じにどきどきして、歪んでどろどろした、そんな感覚がとても好きです、上手く伝えられなくてすみません、応援してます。 (2022年5月24日 13時) (レス) @page40 id: 2e61a566e8 (このIDを非表示/違反報告)
らぱ(新)(プロフ) - 愛涙さん» わわわ私を喜ばせる天才ですか！言って欲しいこと全部言ってくれて嬉しすぎる！✨ありがとう私も大好きだ！！！ (2022年1月14日 21時) (レス) id: c719b83a52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らぱ | 作成日時：2021年12月3日 22時
