暁のヨナ_緋の光_

天命 ページ38

"闇 落つる 大地
龍の血により 再び蘇らん

古の盟約に従い
四龍 集結の時

朱き鳥の姫君 魂に還らん

さすれば

王を守護する 剣と盾が目覚め
ついに赤き龍 暁より還り給う"



パタリ

その場に倒れ込むイクス



イ「神様の声を伝えるのは精神力がいるのでふ…」

ユ「めんどかさいよ若年寄〜」




ハ「さっぱりわからんが、何を言われてもオレは壷を買わん」

壷？？




『…赤き龍って神話に出てくる王のこと？』


イ「建国神話は御存知で？」


『うん
赤い龍神が人間になって天界から地上へ降り
国を治めてゆく話
それが高華国 初代国王 緋龍王
イル陛下が昔聞かせてくれたことがある』


イ「でもその緋龍王も人の身になってからは人と争う事になったのです」



人々の心は邪に満ち
神を忘れてゆき 国は荒れた

緋龍王は権力を欲する人間達に捕らえられた

あわや討ち滅ぼされそうになった時


"緋龍よ"

天界から四体の留学舞い降りた

"緋龍よ貴方を迎えに来た 信愛と学びを忘れた人間など滅ぼし 天界へ帰ろう"


緋龍はそれに応じなかった

"いや 我はもう人間だ
人に憎まれ 人に裏切られても 人を愛さずにはいられないのだ"

龍達もまた緋龍を愛し失いたくないと願った

四体の龍は緋龍を守るため
人間の戦士に自らの血を与えた

ある者は 何をも引き裂く爪を
ある者は 彼方まで見通す眼を
ある者は 傷つかない頑丈な体を
ある者は 天高く跳躍する脚を


龍神の力を手に入れた戦士達は部族を率い
緋龍王を守り
国の混乱を鎮めた


『建国神話…それが私となんの関係が？』


イ「あなたは外に出ればまた命を狙われる…このままではハク殿は死にます」



ドクンっ

ハクが
死ぬ…？



ハ「ちょっと待て、勝手に殺すな」

ドカッ
ユンに傷口を殴られ今にも死にそうなハク

イ「このよーに非常にヤバイ」


…どうすれば…


イ「四龍の戦士を探しに行かれよ」


『えっ！四龍の戦士って伝説の！？本当にいるの？』


イ「いますよ，彼らは今でもこの国でひっそりと龍の血を受け継いで生きている。彼らが力を貸してくれるでしょう」



『神官様…私はハクを死なせたくはない。けれどたったその願いのために…戦士達は力を貸してくれるのでしょうか？』


イ「貴女はあの夜奇跡的城から逃げ延び
この奈落のがけを落ちて奇跡的に無事でした

それはもう奇跡ではなくここへ導かれる天命だったのだと僕は思います。
伝説の四龍をもし見つける事ができたならそれは貴女の私事ではなく天命なのです」

天命→←天命

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す