Your happiness is my happiness（S） ページ11
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sho side
携帯番号を教えるつもりでいたのに、呆気なく断られた。俺から教えるのはなんか悔しいから、やんわり聞いたのに「大丈夫です」とか言うから普通に心が折れた。だから意地でもLINEは教えなかったし、代わりにメールアドレスを流し込んだ。俺の一方的だったと思う。でも、だってファンだったら繋がりたいとか思うんじゃねえの？何回も会ってるこの事実もさ、何とも思ってないんじゃねえかってAちゃんを見てるとそう思うわけよ。なんか俺が一方的に追いかけてね？って。かと思えば、
「眩し過ぎて見れない」
「は？」
「今日一段とビジュがやばいです」
「……あ、そう？」
瞬きの回数が異常に増えたから相当照れてるわこれ。そんな反応されたらこっちが照れるわ、バカ。またそんなこんなで６回目か７回目くらいでついに〈 お前 〉とか呼んじゃってさ、それに対しても「やばい死ねる」とか始まって、俺に対しての愛情っていうのかな、すげえんだなって思えた。素直に嬉しかったし、Aちゃんから来るメールは誰のよりも早く読むし返信もするし、だけどAちゃんからの返信はめちゃくちゃ遅いのがまた好感を持てる。その理由を聞いたら「普段メールなんてしないからまず見ない」とか言うの。俺にメールしてるくせにそのこと忘れちゃってんの、意味分かんなくない？
「ほんとに俺のこと好きなの？」
「……逆に嘘だという証拠は？」
「それだよ、」
「え、どれ？」
「それ！今まさに！」
「ちょっと意味が分からない」
「は、お前まじバカじゃん」
「紫耀くんよりは頭いいです」
ああ言えばこう言うから言い合いだって増えた。謎の痴話喧嘩みたいで楽しんじゃってる自分もいるけど、あれ、そう言えばジロちゃんは？
「ジロちゃん元気？」
「あ、タロのこと？」
「は？」
「ジロちゃんっていうのは５年前くらいに私が勝手に付けた名前で本当はタロ」
「は、そうだったの？」
「そう。そしたらまさか紫耀くんがジロちゃん役やったから運命感じちゃった」
ほらそうやって平気で嘘つくじゃん。全く表情を変えないで、一切悪びれる素振りもなくね。全部くだらないから許しちゃうけど。だけど最近は嘘をつくときのクセを発見した。右側の口角が上がるんだよ、面白いくらいに。「今の嘘だ」って言うと百発百中で「すごいね」って返ってくるから俺もそれなりにAちゃんのこと知ってるつもりだよ。
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作者名：詠夢
| 作成日時：2021年9月15日 19時
