検索窓
今日:6 hit、昨日:3 hit、合計:28,914 hit

ページ34

「反社が定時とか言うんじゃねぇよ」
と幹部たちには突っ込まれつつ、
蘭と竜胆は毎日19時には家に帰る生活を送っていた。



しかし、2カ月ほど経ったある日、
どうしても帰れない日があった。



相手組の事務所前で待ち伏せながら、
蘭と竜胆はどうしようか考えあぐねていた。



「ねぇちゃん…待ってるよな…」
「とりあえず連絡入れっかぁ…」
「でも、この感じだと何時になるか分かんねぇよ?」
「どうすっかなぁ…」



――――――――――――――――――――――――――



遅いなぁ…とユリが時計に目をやると、
インターホンが鳴った。



今まで、この部屋に人が訪ねに来たことはなかった。
そもそも、インターホン機能があることすら、
ユリは知らなかった。



身の危険も感じつつ、どうしようか考えていると、



「蘭に頼まれてきたんだが…
 入ってもいいか?」



「え…?あ、ど、どうぞ…!」
と、鶴蝶が遠慮がちに入ってきた。



「あの…2人に何か…あったの?」
「いや、仕事が立てこんでてな…
 アンタを1人にできねぇからって連絡がきたんだ」



俺じゃ代わりにはならねぇかもだけど、
と言いながら、鶴蝶はソファに腰をおろした。



「もしかして、いつも無理して早く帰ってきてくれてるの?」
「そういうワケじゃねぇけど、
 早くアンタに会いたいんだろ」



ユリはポッと頬を染めた。



「よかったら…夕食一緒にいかがですか?」
「いいのか?」



久しぶりに蘭と竜胆以外の人と話をするのが新鮮で、
ユリにとっても良い時間となった。



「蘭ちゃんはね、あなたのこと尊敬してるんだよ」
「なんか…照れるな」
「でも、私も分かるなぁ。
 鶴蝶くん、良い人だもんね」
「良い人って…俺も反社だぜ?」
「蘭ちゃんも竜ちゃんも…
 世間的に許されないことしてるのは分かってるけど…
 でも、心根は優しいから」



ユリがお風呂から上がり、紅茶を飲む横で、
鶴蝶は筋トレをしながら、2人の帰りを待っていた。

・→←・



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
187人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あたそ | 作成日時:2023年3月20日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。