君は俺の運命【灰谷蘭】 (ページ2)

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▼第1部　出会いページ2

1989年、東京都港区六本木西公園。

母親たちがベンチに座り、
近くの砂場では子どもたちが遊んでいた。

「キレイなおしろできたね～」
「サトシくんすご～い」
「つぎなにしてあそぶ～？」
「あっ…」

ユリたちの視線の先には、
歩道を歩く、同じ年ごろくらいの男の子が2人。

子どもたちの声に、母親たちもそちらを向く。

「ほら…あの子たちじゃありません？
　最近引っ越してこられたっていう…」
「あんな小さな子だけで外に出すなんて…」
「でも綺麗な子たちじゃありませんか」
「奥様は銀座で働いてらっしゃったとか…」
「まぁ…」

そのまま通り過ぎようとする兄弟に、
ユリは声をかけた。

「ねぇ、いっしょにあそぼう…？」

ユリの無邪気な言葉に、
大人たちがすかさず止めに入る。

「今日はもうお家に帰る時間ですよ」

その言葉に蘭は、初めてこちらを向き、
子どもらしからぬ表情でニヤリと笑った。

そしてそのまま、何も言わずに通り過ぎて行った。