君は俺の運命【灰谷蘭】 (ページ41)

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半年後…
ユリと蘭、どちらにも似た、
キレイな顔をした男の子が生まれた。

クリスマスに生まれたその子は「柊(シュウ)」
と名付けられ、ユリと竜胆に溺愛されていた。

「そのガキ今日は鶴蝶が預かってくれんだろ」
「でも…初めてのお泊りだし…心配で…」
すると柊は頃合いを見計らってギャン泣きし始めた。

「このガキ、俺の前では泣かねぇクセによ…」
蘭がぷいとしていると、インターホンが鳴った。

ロックを解除すると、鶴蝶だけでなく、
なぜかマイキーが付いてきていた。

「え、首領直々に子守りしてくれんの？」
と蘭と竜胆も目を丸くしている。

「生まれた子を一目見たかったんだとサ」
と鶴蝶が慣れた手つきで、柊をあやし始めた。

「アンタ、俺のこと覚えてない？」
と、初めてマイキーがユリに声をかけた。

「えっ…？」
「昔…土手のたい焼き屋でさ…」
「え…あの時の…金髪の子？」

「は？
　お前マイキーと知り合い？」
蘭の声には少し嫉妬が紛れていた。

「一度会っただけだけど…」
「オネーサン、幸せ？」
と、マイキーは真っ黒な瞳でユリを見つめた。

「ふふ…あの時もそう聞かれたよね…

　そうだね、普通じゃないのは間違いないけど…
　幸せだよ、わたし。
　あの時も、今も、これからも」

「そっか」
と言い残して、鶴蝶に帰るぞ、と声をかけた。

「ねぇ、君は幸せ…？」

マイキーは振り返らず、さぁなと答えた。
その後ろ姿に、ユリは言った。

「気にしてくれてありがとう。

　これからも、蘭ちゃんと竜ちゃんのこと、
　柊のことも…よろしくね」

それには答えず、マイキーと鶴蝶は、
柊を連れて出て行った。

―――――――――――――――――――――

その夜、久しぶりに2人きりの時間を過ごしながら、
蘭は拗ねていた。

「なぁお前…マイキーといつ知り合ったんだよ」
「高校生の頃…蘭ちゃんと付き合い始めた時かな…」
「へぇ…なんで言わねぇの」
「秘密にしてたわけじゃ…
　まさか蘭ちゃんの上司だとは思わなかったよ」
「ふぅん…」
「またヤキモチ？
　蘭ちゃんホントに私のこと好きだよね」
「るせぇな」

そう言って蘭はユリを押し倒し、
見つめ合いながら聞いた。

「お前、ホントに幸せ？」
「うん…蘭ちゃんは？」
「世界一幸せ」
「じゃあ私は宇宙一幸せ」

蘭ちゃんは…私の運命の人だって思ってるよ、
そう言って、ユリから口づけた。